「桜を見る会」前日の夕食会の問題をめぐり、安倍晋三前首相が25日午後、国会で説明に臨んだ。持病の悪化を理由に、歴代最長政権に自ら幕を閉じてから約3カ月。健康が徐々に回復するのに伴い、政治活動も活発化させてきたが、東京地検の捜査によって夕食会の問題が再燃。「首相再登板」さえささやかれた安倍氏の政治的求心力の低下は避けられない。

 25日午後1時、国会内。記者団が見守るなか、無言で通り過ぎた安倍氏が姿を見せると、カメラのシャッター音が鳴り響いた。前首相が、自身の疑惑を国会で説明するという事態の異例さをうかがわせた。

 「深く深く反省致すとともに、国民のみなさま、そしてすべての国会議員のみなさまに心からおわび申し上げたい」。冒頭、安倍氏はこう語って頭を下げた。

 「事務所は関与していない」、「明細書はない」、「差額は補塡(ほてん)していない」――。過去の国会で事実と異なる答弁を少なくとも118回繰り返していた安倍氏。かつての強気の姿勢は影を潜め、国会での虚偽答弁について謝罪を繰り返すしかなかった。

 2カ月ほど前、安倍氏をめぐる状況は、まったく異なるものだった。

 「7年8カ月、総理の職責に全…

朝日新聞
2020年12月25日 19時45分
https://www.asahi.com/articles/ASNDT5SM4NDTUTFK018.html