新内閣発足から3カ月となった16日、菅義偉首相は逆風の中で節目の日を迎えた。連日のように飲食を伴う夜会食に出席し、特に「Go Toトラベル」の全国一時停止表明直後に、多人数が出席した「ステーキ会食」への批判が拡大。首相はこの日、反省の弁を口にしたが、その後再び、夜会食をはしごした。飲食時の感染リスクを認めながらも、自分は会食。与党からも「言ってることとやっていることが逆」と、批判が強まるばかりだ。

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菅首相は、批判が相次いだ二階幹事長らとのステーキ会食が適切だったのか、報道陣の問いに「国民の誤解を招くという意味においては、真摯(しんし)に反省している」と述べた。「他の人との距離は十分あった」と釈明したが、不適切だったことを認めた。

14日は、「Go To トラベル」の全国一時停止を表明し、全国に緊張感が走った日。「年末年始は静かにお過ごしいただきたい」と、国民に自粛を呼びかけながら、自分は会食をはしご。危機管理力のなさを露呈した。

政府の新型コロナ対策分科会は、年末年始の会合について「大人数、例えば5人以上の飲食は感染リスクが高まる」と自粛を提言。政府も「Go To イート」では全国の知事に対して適用を「原則4人以下」とするよう要請している。

首相はこれまで、食事でも会話中はマスクを着用する「マスク会食」を国民に呼び掛けている。関係者によると、首相は会食中、トイレに向かう際をのぞき、マスクをつけていなかったという。二階氏も会見で「マスクを取らないと食事できない。十分注意しているでしょ」と答えている。

野党は、首相の対応を批判。立憲民主党の安住淳国対委員長は「国民に自粛を呼び掛けている間に、自分たちは高級ステーキを食べて盛り上がっている」と指摘した。衆院内閣委員会で西村康稔経済再生担当相は「一律に5人以上がだめだ、と申し上げているわけではない」と苦しい答弁。自民党関係者は「首相は、言っていることとやっていることが違う」と批判した。

首相はこの日も、日本料理店で銀行関係者、フランス料理店で政治ジャーナリスト田崎史郎氏らと会食。メンバーは首相を含め4人以内だったというが、会食は止めない姿勢のようだ。感染拡大抑制への「勝負の3週間」はこの日終了したが、感染拡大には歯止めがかからない。首相は「国民の命と暮らしを守るために全力を掲げる」と述べたが、説得力のなさは明白だ。

◆菅首相と会食 都内の2つの高級ホテルを使い、ほぼ毎日、秘書官や民間人と朝食をとりながら懇談する「朝会食」が恒例だ。首相動静によると、12月に入って「夜会食」が激増。14日、15日は連チャンでステーキで、焼き鳥、焼き肉、中華、和食と多彩。1日に複数の店を訪れる「はしご会食」は、14日のステーキ会食について反省を口にした16日を含めて、今月5回に及ぶ。首相が14日に訪れたステーキ店は高級店で知られ、安倍晋三前首相も在任中によく利用した。

日刊スポーツ
2020年12月16日22時45分
https://www.nikkansports.com/general/news/202012160001126.html