12月14日の新型コロナウイルス感染症対策本部で、12月28日から来年1月11日まで全国一斉に停止することが決まった政府の観光支援策「GoToトラベル」事業。翌15日昼、新型コロナウイルスに感染したとして入院していた自民党衆院議員の渡嘉敷奈緒美・厚生労働委員長(58)が都内のホテルで政治資金パーティーを開いていたことが、「週刊文春」の取材でわかった。


 渡嘉敷氏は2005年9月の衆院選で初当選した“小泉チルドレン”。2009年の選挙では落選したものの、2012年に再び当選。厚生労働大臣政務官に就任した。2015年には厚生労働副大臣に就任するなど、厚生労働畑を歩んできた。現在、当選4回。菅政権発足後の今年10月、厚生労働委員長に就任した。

「12月4日、渡嘉敷氏が新型コロナウイルスに感染したことが発表されました。ただちに入院しましたが、自身のフェイスブックでは〈今のところ、症状は微熱と軽症の肺炎を起こしかけているとの事ですが、至って元気にしています〉などと記していた。無症状の場合、10日経てば退院も可能です」(政治部記者)

 問題のパーティーは、12月15日昼12時頃から、ホテルニューオータニ(東京・千代田区)の宴会場「鶴の間」(最大収容人数=立食で2500人)で開かれた。

 会場の入口には、〈衆議院 厚生労働委員長 とかしきなおみ君を励ます会〉の案内表示。さらに、「報道関係者様へ この先、立ち入り並びに撮影はご遠慮ください」と記された張り紙が貼られていた。

 田村憲久厚生労働相、茂木敏充外相、小泉進次郎環境相、下村博文政調会長、渡嘉敷氏が所属する平成研会長の竹下亘元総務会長らが顔を出した。

 出席者が明かす。

「会費は2万円で、ゲストスピーカーは、鈴木康裕前医務技監だった。会場内には菅義偉首相との2連ポスターが掲示され、豪華な和食弁当も振る舞われました」

本人不在の“励ます会”に党内の声は……
 ただ、〈とかしきなおみ君を励ます会〉だったものの、最後まで新型コロナウイルスに感染したばかりの渡嘉敷氏は会場に現れなかった。パーティーの冒頭、「このような会を開いてもらった平成研にいられることを、本当にありがたく思っています」という本人からのビデオメッセージが流れたという。

「現職大臣ならまだしも、議員本人不在で、政治資金パーティーを開催する例は珍しい。まして、このコロナ禍です。渡嘉敷氏はよほど資金集めをしたかったのでしょう。党内でも『そこまでやるか……』と冷ややかな声が上がっていました」(自民党関係者)

 渡嘉敷事務所からは期日までに回答がなかった。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、GoToトラベルの全国での一斉停止が決まった直後に、厚生労働関係の立法を取り仕切る立場の厚生労働委員長が、政治資金パーティーを開催していたことは、大きな波紋を広げそうだ。

 12月17日(木)発売の「週刊文春」では、渡嘉敷氏の政治資金パーティー開催問題のほか、菅義偉首相がGoToトラベルを一時停止に踏み切った経緯、GoToトラベルと感染拡大の因果関係を示した複数の重要データ、菅首相が西村康稔経済再生相に水面下で出した“命令”、医療現場に政府の支援金が行き届かない実態などについて、5ページにわたって詳報している。

文春オンライン
12/16(水) 16:12
https://news.yahoo.co.jp/articles/9c47620fe9fd2a45e53f91083fb31ac19e6d6ae5