「国会会期中の議員への捜査、しかも対象が前首相である安倍氏という極めて異例の捜査。事前に林(眞琴)検事総長が菅(義偉)首相にお伺いを立て、GOサインを受けていなければ、さすがに無理な案件でしょう」(政治ジャーナリストの朝霞唯夫氏)

 安倍晋三前首相の後援会が主催する「桜を見る会」前夜祭への支出について、東京地検特捜部が政治資金規正法違反の疑いがあるとみて、安倍氏の公設第1秘書ら関係者へ任意で事情聴取を行っていることが明らかになった。

「安倍氏への捜査が始まっていると23日にスクープしたのは、首相官邸と強いパイプがある読売新聞とNHKですが、菅首相の了承のもとで官邸サイドからリークされたとみられています。今、菅政権は新型コロナウイルス感染拡大の第3波を受けて、Go Toキャンペーンなど一連の対応をめぐり野党やメディアから批判を受けているわけですが、世論の関心をかわす意図なのかどうかは、わかりません。

 ただ、菅首相は安倍政権では官房長官だったわけで、当然ながら菅首相にも野党の追及が向く。菅首相としては“あくまで安倍氏後援会の問題”だとして“何も知らない”で押し通せると考えているのかもしれませんが、自身の責任問題に発展するリスクを冒してまで捜査にGOを出した裏には、何か政局めいたものを感じます」(同)

 そんな菅首相の頭には、やはり次期衆院選があると朝霞氏はいう。

「来年10月には衆議院議員の任期満了を迎えるため、1年以内には必ず衆院選が行われますが、コロナ第3波が広がるなかで、菅政権は時間がたてばたつほど支持率が低下し、選挙で不利になってくる。さらに“桜”の問題では市民から安倍氏の政治資金規正法違反を訴える告発が検察に対しなされ、森友問題でも国を相手にする損害賠償訴訟が継続するなど、いまだに安倍政権の負の遺産が燻り続けている。

 そこで菅首相は、たとえ年明け早々の通常国会が再び“スキャンダル追及国会”になったとしても、ここで一気に膿を出しきり、来年度予算成立後の3月か4月には早々に衆院解散に打って出ることまで想定しているのかもしれません。

 いずれにしても、二転三転するコロナ対応などで政権支持率が下がれば、自民党内でも“菅降ろし”の動きが出てくる可能性もゼロではなく、菅政権が受けるダメージを極力減らし、その上で早期に解散に打って出る考えなのではないでしょうか」(同)

続きはソース元で
2020.11.26 00:15
https://biz-journal.jp/2020/11/post_193044.html