「咳をするたびに撮らないでくれませんか」

 咳き込む姿にフラッシュをたかれると、小池都知事はイライラした様子を隠さなかった。小池都知事は25日、新型コロナウイルスの感染者急増を受け、臨時の記者会見を開催。都内の飲食店に時短営業を呼び掛け、事業者に協力金を支給すると発表した。

 しかし、時短営業要請は、大阪や北海道の一周遅れ。さすがに都民からも「遅すぎる」と批判の声が上がっている。イラつきを抑えられない小池都知事の姿からうかがえるのは、泥縄のコロナ対策への焦りだ。

 都内の重症者数は、25日時点で緊急事態宣言解除後として最多の54人。小池都知事は会見で「予断を許さない」と語り、酒類を提供する飲食店やカラオケ店に今月28日から来月17日までの20日間、営業時間を午後10時まで短縮するよう要請。応じた事業者に最大40万円の協力金を支給するという。

 都民が疑問視しているのは、感染防止のために、人の動きを止めたいのか、止めたくないのか、ハッキリしないことだ。

 小池都知事は「都における命を守る責任を負っている」――と、都が都民の都内旅行を補助する「もっとTokyo」については新規の旅行販売を停止する一方、「国が(除外を)判断するのが筋」などと理屈を並べ、絶対に政府の「Go To キャンペーン」から都を一時除外しようとしない。支離滅裂もいいところだ。

 小池都知事の説明がメチャクチャなのは、都と国とで責任のなすり付け合いをしているからだ。

■大阪に劣る協力金

 菅政権は「トラベル」事業を推進している以上、都内観光の機会を減らしたくない。小池都知事としては一時除外を要請して「トラベル」を潰した“戦犯”にはなりたくない。

 ジャーナリストの横田一氏がこう言う。

「北海道や大阪に先を越された焦りと、菅首相に対する感情的確執が混ざったのか、会見ではイライラを抑えられない様子でした。“女帝のご乱心”といったところでしょう。『もっとTokyo』を中断するのに、『トラベル』の中断を要請しないのは、無責任と言わざるを得ません。無い袖は振れないのか、協力金も大阪の50万円より少ない。せっかく東京版CDC(疾病対策センター)をつくったのに、科学的根拠に基づいた議論がされていないように思います」

 小池都知事と菅首相の確執に振り回される都民もたまったもんじゃない。

公開:20/11/26 14:30 更新:20/11/26 14:30
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