菅義偉首相は10日の衆院本会議で、日本学術会議の会員候補6人を任命拒否した問題に関し「(学術会議から)推薦名簿が提出される前に意見交換が行われたものの、任命の考え方の擦り合わせまでに至らなかった」と説明した。「事前調整」とした5日の答弁に対し、野党などが反発したために「擦り合わせ」と修正した形だが、任命拒否した理由については改めて説明を拒んだ。立憲民主党の中島克仁氏への答弁。

 首相は5日の参院予算委員会で、2017年の改選では、学術会議との間で「一定の調整」が行われたとした上で、今回は「推薦前の調整が働かず、結果として(6人は)任命に至らなかった」と答えた。これに関し、前会長の山極 寿一氏や元会長の大西隆氏は本紙に、推薦名簿に関する調整を否定していた。

 首相は10日、6人を任命拒否した理由について「政府の法案への反対を理由として任命の判断を行ったものではない」と重ねて強調した。具体的な理由は「人事に関する事柄」として説明を拒んだ。

 野党側が求める杉田和博官房副長官の国会出席については「日本学術会議に対する懸念や任命の考え方は杉田氏と共有しており、これまで国会で質問があった点は私や官房長官から答弁している」と語り、慎重な姿勢を示した。(木谷孝洋)

東京新聞
2020年11月10日 20時25分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/67612