「私ほどいさめられる人間はいない」。菅義偉首相は4日の衆院予算委員会で、官僚との向き合い方についての自己分析を披露し、異論に耳を貸さないという野党側の指摘を否定した。一方で、政策実現のためには反対する官僚を更迭することも否定しなかった。

 首相は著書で、NHK改革に異論を唱えた官僚を更迭した総務相時代のエピソードを披露。肝いりのふるさと納税に反対した総務省幹部を主要ポストから外したことも分かっている。

 これを踏まえ、立憲民主党の後藤祐一氏が予算委で「権力者はいさめる人の意見を謙虚に受け止めるべきだ。これでは官僚は安心して仕事ができない」と訴えると、首相は「いろんな官僚の人たちが、いろんな提案を私のところに持ってきてくれる」と反論した。

 後藤氏は「いさめる人を飛ばすようなことはしないと答弁してほしい」と求めると、首相は「やるべきことを説明して(反対意見も)2回まで聞くが、3回目は自分の判断をさせてもらう」と述べ、自らの政策を実現させるため官僚を異動させることも辞さない考えを示した。(木谷孝洋)

東京新聞
2020年11月4日 18時18分
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