菅義偉首相になって初の衆院予算委員会が2日、開かれた。野党側は、日本学術会議会員の任命拒否問題を集中的に取り上げた。首相の答弁は、説明が揺れたり、質問にまともに答えなかったりして議場が騒然とする場面が何度もあった。野党は今後も任命拒否問題を追及する構えで、菅首相にとって苦しい予算委デビューとなった。(大久保貴裕、宮崎亮)

 自民党は、答弁が不安視される首相を援護射撃するため、学術会議のあり方に切り込む質問を用意した。

 同党の大塚拓氏が学術会議について「非常に質が低い」「税金を投入している機関でパフォーマンスが十分とは言えない」と批判すると、首相も「閉鎖的で既得権益のようになっているのではないか」と主張。「そのまま任命するという前例を踏襲するのはやめるべきだと判断した」と訴え、任命拒否を「前例打破」を掲げる改革姿勢の一環としてアピールした。

 質疑後、党幹部は大塚氏に「良い質問だった」と慰労。ある幹部は「野党から一方的な連想ゲームのような質疑になってはいけない」とし、論点を任命拒否からずらそうとした狙いを語った。

 午後に野党のトップバッター、立憲民主党の江田憲司氏が質問に立つと、首相は「私も『全集中の呼吸』で答弁させていただく」と述べ、人気アニメ「鬼滅の刃」のせりふを使って余裕を見せた。

 しかし、野党側の質問が始まると、首相の不安定な答弁ぶりが露呈し始める。

朝日新聞
2020年11月2日 21時03分
https://www.asahi.com/articles/ASNC26RX0NC2UTFK018.html