日本学術会議が推薦した会員候補6人が任命されなかった問題で、会議側が2014年の交代会員の推薦候補105人を決めた後の同年夏に、首相官邸から選考過程の説明を求められ、最終段階で候補から外れた人も含む117人の名簿を示していたことがわかった。複数の会議元幹部が証言した。第2次安倍政権発足の約1年半後には、官邸が会員の選考に関心を寄せていたことになる。

 日本学術会議法は、会員は会議の「推薦に基づいて」首相が任命すると規定。210人の半数が3年に1度、10月に交代する。

 14年の交代人事では、会議が7月中旬の臨時総会で推薦候補105人を決定。会議元幹部によると、この決定以前は、官邸に選考の進め方は説明したが、名簿の提示はしていない。

 しかし、複数の会議元幹部によると、臨時総会の数日後、当時の大西隆会長(東大名誉教授)と内閣府の会議事務局職員が、推薦決定を伝えるために官邸で杉田和博官房副長官と面会した際、どう選んだのかについて説明を求められた。大西氏はその際、推薦候補の105人に加え、最終段階まで候補に残った12人を含む117人の名簿を見せたという。

 大西氏は8月下旬、この105人の推薦を決めたことを菅義偉官房長官(当時)に説明し、その後、安倍晋三首相(同)が全員をそのまま任命した。

官邸「事実関係分からない」

 大西氏は14年の交代人事で説…

朝日新聞
2020/10/28 5:00
https://www.asahi.com/articles/ASNBW7L26NBWUTIL03K.html