「お金に困っている方は少ない」「貯金は減ると思ったらとんでもない。その分だけ貯金は増えた」――。

 新型コロナ対策として全国民に配られた10万円の定額給付金について、麻生財務相がこう文句を垂れ批判を招いている。給付金が消費に回らなかったことが不満な麻生氏は、「何で配ったカネを使わねえんだ」と言わんばかり。

SNSでは〈国民をナメているのか〉などと怒りの声が噴出。〈金に困った経験のない麻生さんに何がわかるんだ?〉との指摘もあったが、生まれながらのセレブの麻生氏にとって、10万円は“ちょい飲み”代でしかないようだ。政治資金の使途を見ると、金銭感覚の異常さがよく分かる。

 麻生氏が代表を務める資金管理団体「素淮会」の最新の収支報告書(2018年分)を日刊ゲンダイがチェックしたところ、交際費などに関わる「組織活動費」の「会合」名目のうち、1回で10万円を超える支出はナント73回、金額は計約2075万円にも上った。

 例えば、2月14日に東京・銀座の有名寿司店「すきやばし次郎」に約26万円、7月11日は赤坂の高級うなぎ店「重箱」に約15万円を支出。高級クラブへの数十万円単位の支出も目立つ。

 過去に再三、政治資金を使った高額飲食についてメディアで批判されてきたのに改めないのは、麻生氏の金銭感覚が庶民と乖離している証左。「10万円くらいパパッと使えよ」という感覚なのだろう。

「コロナ禍で明日の生活に困っている人もいる。10万円程度では“焼け石に水”です。『国はこの程度しか支援してくれない』と感じる国民が多いでしょうから、少しでも貯金しようと考えるのは当然。本来は国民が安心して消費できる環境を整えるべきなのに、ただ『消費に回せ』と言うのは乱暴です。麻生大臣には庶民感覚が分からないのでしょう」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)

 かつて、選挙演説で「下々の皆さん」と放言した麻生氏が要職に就き続ける限り、国民は救われない。

日刊ゲンダイ
2020/10/26 13:30
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/280481/