任命を拒否された6人が10月23日、日本外国特派員協会で記者会見を開いた。そこで語られたこととは。

「日本学術会議」の新たな会員として推薦された学者6人の任命を、菅義偉首相が拒否したことをめぐる問題。

任命を拒否された6人が10月23日、日本外国特派員協会で記者会見を開いた。菅義偉首相は説明責任から「逃げられない」との指摘や、「複数の違憲・違法行為がある」との声が上がった。

まず、経緯を振り返る

日本学術会議は各分野で日本を代表する学者が集まる組織で、政府から独立した立場から提言等を行う。

2007年以降は321の提言を出しているほか、政府や省庁からの審議依頼を受けて様々な問題について審議し、その結果を報告している。

日本学術会議の会員任命を首相が拒否したのは、現在の制度に変更された2004年以降初めてのことだ。

任命されなかったのは以下の6人。

松宮孝明氏(立命館大教授、刑事法学)
小沢隆一氏(東京慈恵医大教授、憲法学)
岡田正則氏(早稲田大教授、行政法学)
宇野重規氏(東京大教授、政治学)
加藤陽子氏(東京大教授、歴史学)
芦名定道氏(京都大教授、キリスト教学)


松宮氏や小沢氏は、安倍政権下で成立したいわゆる「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法や「安法法制」に対して国会で反対意見を述べていた。

また、宇野氏や岡田氏、芦名氏も「安保法制」に反対する立場を示してたほか、加藤氏も同じく安倍政権下で成立した「特定秘密保護法」や憲法改正に反対していた。

いずれも政府の方針に異論を示してきた6名であり、政府の意に沿わない学者を排除する動きではないかとの批判が上がっている。

※中略

6人の学者が海外メディアに語ったこととは?

会見には岡田氏、松宮氏が現地で参加。芦名氏と小沢氏はオンラインで参加し、宇野氏と加藤氏はメッセージを寄せた。

岡田氏は「このような行為は日本における学問の自由の制度的枠組みを破壊することになる」と指摘。

「国民が学術会議法を通じて、会員の選定罷免権を委ねているのは学術会議という組織体であって、総理大臣ではありません」と政府の一連の行為が不当であるとの認識を示し、名簿を「見ていない」という菅首相の説明が事実であれば、その手続き自体も「違法」だとしている。

また、松宮氏は会見で今回の任命拒否を憲法15条1項に基づき行ったとする官邸の説明は「恐ろしい話」と強調した。

「内閣総理大臣は国民を代表しているから、これからどのような公務員であっても選ぶ、選ばれないとなった時、その根拠は憲法15条であると宣言したということになるからです」

松宮氏と岡田氏は、記者から訴訟の提起やデモなどの可能性について尋ねられたが、ともに国会での究明に期待すると述べるに止めた。適切な権力の監視が行われることに期待を寄せているという。

松宮氏は「国会の中、外あるいは日本の中と外のメディアが発信することで国民の世論がどう評価するか、それが今後の行方を左右することになる」と指摘。「端的に言えば、内閣支持率がこの先どのように変わっていくかが注目されるところ」との認識を示している。

また、この任命拒否をめぐっては任命権限は形式的に首相にあるため、菅首相は「他の人にこの問題を預けることはできない」と指摘した。

「自らが会長と話し合い、そして結論としては(6名を会員に)任命するしかない。逃げられないと私は思います」

こうした学者からの意見表明を受け、菅首相はどのような説明を行うのか。10月26日からは臨時国会が招集されることもあり、注目が集まっている。

2に続く

BuzzfeedJAPAN
2020/10/23 9:53:53
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