日本学術会議が推薦した新会員を菅義偉首相が任命しなかった問題で、立憲民主党など野党は7、8両日に開かれる衆参両院の内閣委員会で、政府への追及を強める方針だ。過去の政府の国会答弁や文書で、首相の任命は「形式的」としたことに矛盾するとして政府の見解をただす構えだ。26日召集で調整中の臨時国会前に、首相が出席する予算委集中審議の開催を迫ることも検討する。

 立憲の福山哲郎幹事長は2日、記者団に「学問の自由に対する国家権力の介入で、到底看過できない」と批判。任命拒否は1983年、当時の中曽根康弘首相らが「政府の行為は形式的行為」などと答弁したことと食い違うため、「違法の疑いもある。大きな問題を白日のもとにさらした」と述べ、政府に任命拒否の理由を明確に示すよう要求した。

 政府は83年、首相の任命は「形式的」との見解を記した文書も作成していた。当時の総理府が、日本学術会議法改正の際に作成した「想定問答」で、「首相による任命は実質任命か」との質問に、「首相は推薦人の推薦に基づいて会員を任命することとなっており、この任命は形式的任命である」との答えを明記していた。立憲の小西洋之参院議員が国立公文書館で、内閣法制局の「法律案審議録」に含まれているのを確認した。この文書も根拠に政府を追及する見通しだ。【宮原健太】

毎日新聞
2020年10月4日 17時27分
https://mainichi.jp/articles/20201004/k00/00m/010/113000c