「あってはならないことが起きた」「戦前への逆戻りだ」−。日本学術会議が推薦した候補者6人を菅義偉首相が任命しなかった問題で、2日に東京都内で開かれた日本学術会議の総会では、会員から政府への批判と抗議への協力を呼びかける声が相次いだ。ツイッターでも「#日本学術会議への人事介入に抗議する」というハッシュタグ(検索目印)を付けた書き込みが2日午後7時現在で25万件以上投稿され、法曹界などからは抗議声明が出るなど、大きな波紋が広がっている。(望月衣塑子)

 拒否された6人が欠員になった状態で、総会の全体会合に続いて開かれた人文社会学系の学者が所属する第1部会(定員70人)。尚絅しょうけい学院大の行場ぎょうば次朗教授は「分科会の委員長を予定していた松宮孝明(立命館大法科大学院)教授が任命されず、分科会の運営が危ぶまれている」と、政治からの介入に危機感をあらわにした。

 千葉大の栗田禎子さだこ教授は「日本学術会議は時の政治権力に自律的でなくてはならないという規定があるのに、行政処分のような形で紙1枚で(任命拒否を)送ってきた」と憤る。「(菅首相は)官房長官時代から、言うことを聞かない役人は飛ばしていいという手法が身に付いているから、学術会議の特別な性格を理解せず、いつもと同じやり方でやった。戦前への逆戻りだ」と強く批判した。

 北海道大の宇山智彦教授は「政府の判断は、日本学術会議法に違反する。(6人は)法律・歴史・政治分野で著名で深い研究をしている」と政府の判断を疑問視。「政治的な理由、過去の発言が左右したのなら、学問の自由だけでなく、国民の言論の自由全体に関わる。国民にも広く理解してもらうことが重要だ」と訴えた。

 一方、自由法曹団東京支部は2日、「任命拒否は政権に批判的な研究活動は許さないという菅首相による宣言だ」などとして、任命拒否に断固抗議し撤回を求める声明を出した。

東京新聞
2020年10月02日 19時59分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/59291