菅義偉首相が任命した「日本学術会議」の新会員をめぐり、会議が推薦した候補者105人のうち6人が除外された問題で、野党合同ヒアリングが2日、国会内であった。任命されなかった6人のうち、岡田正則・早稲田大教授(行政法学)、小沢隆一・東京慈恵会医科大教授(憲法学)、松宮孝明・立命館大教授(刑事法学)の3人が出席し、除外の理由が明らかにされていないことを批判した。

 岡田氏は「建設的な提言がされないと、内閣がやることに『イエス』という提言や法解釈しか(政府は)聞かなくなる。今後の日本にとって大きな禍根を残すのではないか」と懸念を示した。岡田氏は米軍普天間飛行場の移設問題で、沖縄県に対抗して防衛省がとった法的手続きを批判した経緯がある。

 2015年に安全保障法制を審議する国会の公聴会で政府を批判した小沢氏も参加。小沢氏は「任命は学会推薦に従って行い、推薦された者を任命しないことはない、と1983年の国会答弁がある」と指摘。今回のことは「学問の自由に対する大きな侵害だ」と述べた。

 また、松宮氏は「この問題の被害者は、日本の学術によって恩恵を受ける人々全体だ」と述べ、「日本の学術がこれから伸びていけるか、日本、世界の人々に成果を還元できるかという影響が一番大きい」と話した。(吉川真布)

朝日新聞
2020/10/2 11:48
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