https://news.yahoo.co.jp/articles/bf40f0bf9c80cf73b2c9587eeea67bd975147e07
民主的な後継者は菅官房長官

写真:現代ビジネス

 「ポスト安倍」は菅義偉官房長官に決まる見通しだ。安倍晋三首相の退陣は病気が理由である。それを考えれば、政権の大黒柱である菅氏が後継に収まるのは、ごく自然な流れ、と言える。ただ、新政権を取り巻く環境は前政権の発足時よりも、はるかに厳しい。

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 安倍首相の辞任について、左派マスコミは一斉に「長期政権が行き詰まった末の辞任」と書いた。たとえば、朝日新聞は8月29日付社説で「長期政権のおごりや緩みから、政治的にも、政策的にも行き詰まり、民心が離れつつあったのも事実」と指摘した(https://www.asahi.com/articles/DA3S14602394.html? iref=pc_rensai_long_16_article)。

 毎日新聞も同じく「政権運営が行き詰まる中での突然の幕引き」と主張し(https://mainichi.jp/articles/20200829/ddm/005/070/072000c)、東京新聞は同じく「首相交代は第二次内閣以降の『安倍政治』を転換する機会でもある」と踏み込んだ(https://www.tokyo-np.co.jp/article/51882? rct=editorial)。

 彼らは、退陣を絶好のチャンスとみて「これまでの安倍路線を抜本的に転換せよ」と合唱している。本来なら政権交代を望むところだが、総選挙がないので、それは叶わない。であれば、せめて「安倍政治からの脱却」を実現したい。そう願っているのだ。

 こういう社説を目にして、私はつくづく情けない、と思う。道理も何もあったものではない。ひたすら「安倍政権、打倒」を煽ってきたが、相手が病に倒れてしまったので、拳を振り上げてばかりもいられない。そこで、おずおずと路線転換を訴えている。

 民主政治の原理で考えれば、ここで路線転換を訴えるほうがおかしいし、辻褄が合わない。なぜか。安倍氏の退陣は、病気が理由である。国民から政策を批判された挙げ句、選挙で負けて退陣するわけではない。いわば、緊急事態だ。

 そうであれば、安倍政権の政策路線を継承し発展させることが、後継首相の最大の使命ではないか。国民の目から見れば、ここで従来路線を大きく転換したら「選挙でオレたちの意見を聞いたわけでもないのに、勝手になんだ」という話になる。当然である。

 国民が政権を選ぶ。言うまでもないが、これが民主政治の原理だ。

(略)