立憲民主党と国民民主党の合流協議を巡り、国民の前原誠司元外相(衆院京都2区)が合流新党への不参加を表明し、京都府内では旧民主勢力の分裂が続くことが確定的になった。所属する国会議員数は立憲の福山哲郎幹事長(参院京都選挙区)らが参加する合流新党(4人)が国民(1人)を上回る見込みだが、前原氏は日本維新の会との連携に含みを持たせるなど、更なる再編の芽もある。共産党との「野党共闘」にも前原氏と福山氏らで温度差があり、次期衆院選に向けた構図にも影響を与えそうだ。

 「共産とは外交安保などで考え方が全く違う。共産と協力する政党(合流新党)には行きたくないの一点に尽きる」。15日に京都市内で開かれた後援会の会合で、前原氏は合流新党への不参加を明らかにした。自身の歩みを「非自民・非共産のど真ん中の『王道』を歩み、自共の京都の2大政党の一角を崩す取り組みをしてきた」と強調。「この国をどうするかという真剣な気持ちを持つ政治家が数人でも十数人でも集まれば、この国は変えられる」と訴えた。

 合流新党には、立憲の福山、山本和嘉子(衆院比例)両氏のほか、国民の泉健太政調会長(衆院京都3区)や、国民を除籍され立憲会派入りした無所属の山井和則氏(衆院比例)が参加する見通し。これまで府内の国会議員は立憲2人、国民2人で拮抗(きっこう)していたが、今回の再編で合流新党4人、国民1人と勢力差が拡大する。

 そもそも立憲と国民は2019年4月の府議選や京都市議選で候補者調整をせず、両党の候補者が選挙区で競合。同7月の参院選京都選挙区では、新人を擁立した立憲が国民の推薦を拒否した末に結局、落選するなどギクシャクした関係が続いていた。両党を支援する連合京都の関係者は「両党のしこりが残ったままでは、野党再編は前進しないのでは」と苦言を呈する。

 ◇京都特有 共産の存在感

 合流劇を更に難しくしているのは、共産の京都特有の存在感だ。共産は衆院比例近畿と参院京都選挙区で計2議席を擁し、府議会で第2会派となる12議席を有する。旧民主系とは長年対立関係にあり、立憲幹部は「京都は(協力が進む)他の地域とは事情が違う。京都では、立憲も共産と全面協力するつもりはない」として、共産との関係性で合流新党への参加を拒否した前原氏を批判する。

 前原氏は6月、維新の議員らと勉強会を開催。8月15日の後援会でも「維新や無所属とも協力しながら、国の在り方を打ち出して実現する努力をしている」と維新との連携をにおわせる。府政界関係者は「不参加の方便として共産を持ち出したに過ぎず、本当は維新との連携含みなのでは」と勘ぐる。

 一方、共産は前回17年の衆院選で当時、民進党代表だった前原氏が希望の党との合流協議を進め、野党共闘の足並みを乱したと批判を強める。共産批判を繰り返す前原氏の動向に「これまでは公党同士で付き合ってきたが、今後は変わる」(関係者)と突き放す。

 前回衆院選では、全6選挙区で希望系と共産の候補者が競合。仮に野党候補が一本化され、得票数を単純に足した場合、1、4、6区の3選挙区で自民候補を上回る。野党各党は次期衆院選に向け共闘を模索しているが、前原氏の動向が不確定要因となり、共闘が不調に終わる可能性も捨てきれない。

 旧民主系は府議会、京都市議会とも統一会派をつくっており、この枠組みは維持される見通しだ。ただ、国民関係者は前原氏の存在を念頭に「旧民主がまた分裂している、という印象は与えかねない」と指摘。別の関係者は野党共闘への影響を懸念し「結局、与党を利することになりかねない」と話す。

 立憲幹部は「合流新党に国民の地方議員の参加を呼び掛けていく。前原氏とも協力していきたい」と期待を寄せる。府内の旧民主系の動向は混迷を深めるが、自民府連幹部は「一定の新たな受け皿ができるのは事実」と指摘。安倍内閣の支持率が低下する中、「旧民主が分裂していると油断するのが一番危険だ。足元を固めていく」と強調した。【小田中大】

毎日新聞
8/18(火) 19:13配信
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