あの男の不参加が決まり、立憲民主党の議員たちもホッとしているのではないか。国民民主党の前原誠司元外相が、立憲民主との合流に参加しないと表明した。15日、地元・京都市で開いた後援会の会合をツイッターに投稿し、そのなかで「合流新党には行かず、国民民主党に残る選択肢をとらせてもらう」と明らかにした。合流しない理由は、「共産党と協力する政党には行きたくない」ということらしい。

 いま国民民主の党内は、新党に合流するか、残留するか、多数派工作が行われているが、前原氏に新党合流を期待する声は皆無に近いという。

■「共産党が…」と口にしているが

「前原さんは、合流しない理由について『共産党が……』などと、もっともらしいことを口にしていますが、本当は参加したくても参加できないのが真相です。なにしろ民進党の代表時代、小池百合子氏に唆されて“希望の党”の結党を決め、その揚げ句、小池さんと一緒になって枝野幸男氏たちを“排除”した張本人ですからね。排除された枝野氏たちは、その後、立憲民主を立ち上げた。さすがに、自分が排除した面々がつくった立憲民主とは合流できなかったのでしょう。立憲サイドも、前原さんが合流を拒否したことを歓迎しています。もし“合流したい”と表明されたら困ったはず。もちろん新党に入れたくないけど、かつて自分たちが排除されただけに、前原さんを排除したら、逆に批判されますからね」(野党関係者)

 その一方、国民民主党に残る玉木代表の周辺が、前原氏に三顧の礼を尽くして残留を懇願した様子もないという。

 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)がこう言う。

「松下政経塾OBの前原さんは、ある意味、自民党議員よりも右です。維新の会にも接近している。掲げてきたのは“反共・野党連合”です。でも、野党陣営は共産党との選挙協力を進めている。もう、野党陣営に前原さんの居場所はないのでしょう。かといって、いまさら自民党にも入れない。たとえ、小さな政党の一議員になるとしても、玉木代表にくっついていくしかないのでしょう。野党陣営にとっても、異質な前原さんが党内にいない方が、まとまるはずです」

 いずれ、維新の会に頭を下げて入党させてもらうつもりなのか。

日刊ゲンダイ
2020/08/17 14:50
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