米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画をめぐって政府と対立する玉城デニー知事の足元が揺らいでいる。県政与党が過半数をかろうじて維持した6月の県議選後、初の定例会で、県政与党側が推す議員が議長選で敗れる波乱が起きたためだ。今後の推移次第では、辺野古移設阻止に関わる予算編成に影響が出てくる可能性がある。

 県議会(定数48)の議席は、共産や社民など玉城氏を支える県政与党が25。自民や公明の県政野党は21、中立が2。定例会初日の6月30日にあった議長選は、与党4会派のうち3会派が一致して推した崎山嗣幸県議が22票。これに対し、与党ながら知事と一定の距離を置く会派「おきなわ」(3人)代表の赤嶺昇県議が26票を獲得し、議長の座に就いた。

 複数の野党系県議によると、議長に意欲のあった赤嶺氏と、2年後の知事選に向けて県議会で主導権を握りたい自民側の思惑が一致。19議席の自民会派の働きかけで、公明2人、中立2人に加え、会派「おきなわ」が赤嶺氏議長案で同意した。自民側はこの枠組みで、副議長と三つの委員長ポストも手に入れた。

 赤嶺氏は報道陣に「与党のスタンスは変わっていない」と強調する一方、「(他の)与党会派との信頼関係が今はない」とも述べた。玉城氏は30日の議会後報道陣に「特段コメントすることはない」と述べるにとどめたが、30分ほど後にこうツイートした。「万事塞翁(さいおう)が馬。一喜一憂せず」(藤原慎一)

朝日新聞
2020年7月1日23時15分
https://www.asahi.com/articles/ASN716G0LN71TIPE013.html