【平安名純代・米国特約記者】米下院軍事委員会の即応力小委員会(ジョン・ガラメンディ委員長)は23日(日本時間24日)、米国防予算の大枠を示す国防権限法案を可決した。名護市辺野古の新基地建設に伴い判明した、大浦湾の軟弱地盤に関する懸念を新たな問題として初めて指摘。国防長官に改善案などを盛り込んだ報告書の提出を義務付けた。(2・3面に関連)

 法案は冒頭で「普天間代替施設の開発継続を懸念する」と表明。大浦湾の軟弱地盤が建設計画に「不利な影響を与え得る」と指摘した。建設予定地に近接する2本の活断層と、大浦湾海底部の50メートルの落差の存在など議会側の留意点を具体的に明示した。

 その上で「地質学者らが海底を分析した結果、困難な問題を特定したと理解している」と指摘。N値(強度)の検証結果や、地盤強化を含む対処法など5点を盛り込んだ報告書を、12月1日までに国防長官へ提出するよう義務付けた。

 玉城デニー知事は、昨年10月の訪米で、上下両院の軍事委員会に所属する議員らと面談。軟弱地盤の問題を強調し、法案に新基地建設計画の見直しを盛り込むよう要請していた。

 委員会に所属する複数の議員は、本紙の取材に「新基地を前提とする現行計画を否定するものではない」と述べつつ「(軟弱地盤は)計画の根本に関わる問題」と指摘。「国防長官が議会に提出する報告書で改善策が明示される必要がある」との見解を示した。

 有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)を巡る条項では、化学物質などの漏出が発生した場合、国防総省が米議会に報告する義務などを新たに盛り込んだ。

 国防権限法案は、上下両院の軍事委員会の小委員会で審査・可決した後、軍事委員会、上下両院の本会議での審議・可決を経て一本化され、大統領の署名を経て成立する。

知事「訪米の成果」

 玉城デニー知事は24日、米議会下院の小委員会で、名護市辺野古の新基地建設を懸念する条項を盛り込んだ国防権限法案が可決されたことに「訪米活動の成果だ」と強調する談話を発表した。

 知事は軟弱地盤の問題など「昨年の訪米で、連邦議会議員へ求めてきた内容を含んでいる」と指摘した。

 一方で、法案の成立には軍事委員会や本会議での採決を残すなど、手続きが残っているとし「引き続き米国における問題提起と行動に取り組んでいきたい」と述べた。

沖縄タイムス
2020年6月25日 07:30
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/590521