河野防衛大臣は15日、秋田県と山口県の、地上配備型迎撃ミサイルシステム『イージス・アショア』の配備計画について、「停止する」考えを明らかにしました。
 河野防衛大臣:「コスト・時期に鑑みて、イージス・アショアの配備のプロセスを停止する」

突然の“配備停止”の理由は、根本的な問題が解決できないことにあります。配備の候補地とされてきたのは、秋田県と山口県の、2つの自衛隊演習場です。このうち、山口県の『むつみ演習場』について、政府は「迎撃ミサイルから切り離されるブースターを確実に演習場内に落とす」と説明してきました。
 河野防衛大臣:「ハードウェアを改修しなければ、(演習場内に)確実に落とすと言えないことがわかったので、開発の費用・期間を考えれば、残念ながら、配備は合理的ではないと言わざるを得ない。防衛省として、配備のプロセスを“停止”し、NSC(国家安全保障会議)にその旨をしっかり報告する。そのうえで、今後の対応について考えていきたい」

配備をめぐっては、これまで、防衛省の調査報告書にデータのミスが発覚したり、住民説明会で職員が居眠りをするなど、問題が相次いでいました。
 秋田県・佐竹知事:「配備計画を停止することは賢明な判断と考える」
 山口県・村岡知事:「突然のことで大変、驚いた。改めて、お詫びと説明に行きたいという話なので、それをお受けしたい」
 山口県阿武町・花田町長:「やはり(ブースターを演習場内に)確実に落とすことができなかったんだなと。『確実に落とす』という説明は何だったのか」

秋田県の候補地に隣接する地元振興会は、これまで配備に反対を表明してきました。
 新屋勝平地区振興会・佐々木政志会長「“停止”というのは、一時的なものであって、いずれまた配備に稼働していくのかなという懸念を持っている」

◆テレビ朝日政治部・安西陽太記者の報告です。
計画自体が白紙撤回になりました。2カ月前、河野大臣はミサイルのブースターが演習場の外に落ちる可能性があると報告を受けました。ある幹部によりますと、イージス・アショアの配備の見直しの指示は4月中には出ていたといいます。この情報は特定の幹部のみが共有して進められてきました。その間、地元の理解は進みませんでした。秋田では、防衛職員の居眠り、説明資料のミスなどで、地元住民の反発が強まったことも白紙撤回に大きな影響を及ぼしました。

山口では、海と演習場の間には住宅があるため、ブースターの課題が解決されなければ、住民に被害を及ぼす恐れがあります。イージス・アショアは、秋田県・山口県の両方で、日本をカバーするので、どちらの配備も必要不可欠です。両県での配備が難しくなったため、白紙撤回となりました。防衛省は、今後、別の地域で日本全土をカバーする場所を探していくことを検討していきます。

テレ朝news
2020/06/15 23:30
https://www.youtube.com/watch?v=oeyBLOJp8zw