持続化給付金の業務が活動実態の乏しい一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」に外部委託され、大部分が広告大手の電通に再委託された問題で、同協議会が入居する東京都内のビルに、電通が経済産業省から受託した事業の事務局が他に六つ入居していることが判明した。6事業の電通への支払額は約16億円にのぼり、このビルが電通が請け負った経産省関連業務の集約拠点になっていた。野党は「ビルは事実上の『電通公共政策部』。経産省と電通の関係の深さを示すものだ」と批判している。【山口朋辰、岡大介/統合デジタル取材センター】

協議会と他事業の事務所は共用

 協議会は、東京メトロ日比谷線・築地駅から徒歩3分、道路を隔てて築地場外市場を望む9階建てオフィスビルの2階に入居している。入り口には、メールアドレスとコールセンターの電話番号とともに「持続化給付金事業へのご対応はできかねます」と書かれた紙が張られている。協議会の総会があった8日に訪れたが、フロアの明かりは薄暗く、カーテンが閉められ呼び鈴もないため、中の様子をうかがうことはできない。

 この2階の約240平方メートルのフロアには、協議会とともに、「商店街まちづくり」「中心市街地活性化」の2事業の事務局の看板が掲げられている。さらに3階に上がってみると、「農商工連携等によるグローバルバリューチェーン構築」「小売事業者・ふるさと名物開発等支援」「商店街・まちなかインバウンド促進支援」「中心市街地再生」という4事業の事務局の看板も出ている。いずれも似たような趣旨の事業名だ。一体、何の事務局なのか。

毎日新聞
2020年6月11日 07時37分
https://mainichi.jp/articles/20200611/k00/00m/040/015000c