国の持続化給付金事業で経済産業省が一般社団法人サービスデザイン推進協議会の外注先となる企業数など、事業の全体像を把握していないことが分かった。本紙の取材に、経済産業省中小企業庁(中企庁)の担当者が認めた。事業は委託や外注が繰り返され、業務運営の実態が不透明だと批判されているが、国も情報をつかみ切れていないことが裏付けられた。

 中企庁は野党の求めなどに応じ、元々は公表されていなかった受注関係の全体像を少しずつ明らかにしてきた。だが、法人が八日に記者会見で公表した資料で、より細かい外注が行われていたことが判明した。

 中企庁の担当者は本紙の取材に「資料を見て初めて知った」と話した。その一方で「全ての外注先を国が把握する必要はない。事業が適正に行われているかは協議会を通じて管理すればいい」と強調した。

 法人の資料などによると、電通から外注された電通の子会社四社もさらに外注していた。特に電通ライブは電通から流れた五百九十五億円のうち手元に残るのは八千万円で99%は外注に回していた。九日の衆院予算委員会では、梶山弘志経産相が外注関係を誤解し、電通ライブに残るお金を「百七十九億円」と誤って答弁する一幕もあった。

 法人の公表資料に記載された企業や団体の数は匿名のものもあり、詳細は不明だ。二十〜三十社は受注に加わっているとみられる。法人は会社数について、本紙に対して「取引先の許可が出ていない」と明らかにしなかった。 (森本智之、皆川剛)

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東京新聞
2020年6月10日 07時03分
https://www.tokyo-np.co.jp/amp/article/34520