自民党の石破茂元幹事長は8日、二階俊博幹事長と国会内で会談し、石破派の9月の政治資金パーティーでの講演を依頼した。二階氏は「行こう」と受諾したという。「ポスト安倍」に意欲を示す石破氏と、党の実力者の二階氏との連携の足がかりとなる可能性もあり、注目が集まりそうだ。

 会談は幹事長室で約20分間行われ、石破派の山本有二・元農相や二階派の林幹雄幹事長代理らが同席した。石破氏は会談後、記者団に「自民党はいかにあるべきか。政策集団の果たすべき役割とかコロナ後の日本とか、色々なお話を頂けたら」と語った。同派のパーティーではこれまで石破氏自身が講師を務め、外部から招くのは初めて。

 一方、二階氏は同日の記者会見で「要請があれば、喜んでお伺いするのが幹事長の仕事」としつつ、「石破さんは我が党でも最も古い政治家、最も経験豊かな政治家の一人であることには違いない。大いに期待をして、将来さらに高みをめざして進んでいただきたい期待の星の一人だ」と、石破氏を持ち上げた。

 石破氏は「次の首相にふさわしい人」を問う世論調査でトップに立つことも多い。だが、自民内では安倍晋三首相への批判も辞さない言動を好まない議員もおり支持の広がりを欠く。二階派には今のところポスト安倍候補がおらず、石破派内では二階氏と連携を強め、党内の支持拡大につなげたいとの期待がある。

 同じくポスト安倍をめざす岸田文雄政調会長は8日の記者会見で、二階氏が石破派の講演を引き受けたことを記者団に問われ、「幹事長は各派閥のパーティーに出席していたのではないか。(講演に)どのような意味があるのかと思う。冷静に注意深く見守っていきたい」と語った。(松山尚幹)

朝日新聞
2020年6月8日20時42分
https://www.asahi.com/articles/ASN686SK1N68UTFK00M.html