自民党の河井案里参院議員、夫で衆院議員の克行前法相による公職選挙法違反疑惑(買収)で、検察が党本部の職員らを任意で事情聴取したことを報じた本誌オンライン記事(5月27日配信)が話題になっている。自民党幹部がこう言う。

「えらい騒ぎで大変だったよ。昨年7月の参院選で、広島は安倍首相肝いりの重点区だったので、党本部も選挙を知り尽くした優秀な人材を投入した。そのスタッフが検察から調べを受けたんだから。そら、ショックだよ。守護神の黒川氏(弘務・前東京高検検事長)がいなくなってヤバいと思っていたら、不安が現実に……」

 広島地検と東京地検特捜部が捜査を進めているのは、河井夫妻が昨年7月の参院選前に地元の県議や市議、首長らに計2千万円をばらまいたという買収疑惑だ。その原資となったとされるのは、自民党本部から河井陣営に支出された1億5千万円と検察はみていた。その経緯について検察当局に自民党本部の職員らが事情聴取され、大慌てとなったのだ。河井夫妻から現金を受け取った広島の自民党地方議員が語る。

「案里氏の陣営のカネの使い方はすごかった。1億5千万円どころじゃない、すごいカネの使い方だった」

 広島、東京地検からすでに事情聴取された河井夫妻は、地元で現金をばらまいたことについては否定していないという。

「河井夫妻は、現金を配ったのは統一地方選の陣中見舞い、当選祝いと主張している。当然、その原資が必要だが、河井夫妻の銀行口座、政治資金などから、ばらまいた額に見合う資金の出入金の形跡がうかがえない。自民党から支出された1億5千万円の捜査は不可欠だ」(捜査関係者)

 そして昨夏の参院選でウグイス嬢に法定の2倍、3万円の日当を払ったとして逮捕・起訴された案里氏の公設秘書、立道浩被告の公判も続いている。

「検察の取り調べに立道被告がかなりしゃべっていたことが公判で明らかになり、河井夫妻はガックリきているようだ。これまで立道被告は選挙についてしゃべっていないと思い込んでいたみたい。そこへきて党本部の職員、スタッフまで検察から事情聴取され、二重にショックを受けている」(前出の自民党幹部)

 河井夫妻の逮捕Xデーが迫り、安倍首相周辺も動き出したという。

「逮捕の影響をどうすれば最小限に抑えられるかと対策を話し合っている」(同前)

(今西憲之)

※週刊朝日  2020年6月12日号
2020/6/4 08:00
https://dot.asahi.com/wa/2020060300009.html