緊急事態宣言の中、賭けマージャンをした問題で辞職した東京高等検察庁の黒川検事長の後任に、名古屋高等検察庁の林眞琴検事長が就任することになりました。

東京高等検察庁の検事長に26日付けで就任する林眞琴氏は62歳。

仙台地方検察庁の検事正や法務省の刑事局長などを経て、おととし1月から名古屋高等検察庁の検事長を務めています。

林氏は法務省の刑事局長当時、「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法の国会審議で、政府側の答弁の中心的な役割を果たしました。

一方、法務省は、検察に対する信頼回復を図るため、裁判官や弁護士に加え有識者も参加した新たな会議を設け、対応策を検討していくことになりました。

今回の黒川氏の問題をめぐって野党側は、黒川氏を訓告の処分とした経緯などを安倍総理大臣に直接ただす必要があるとして、衆参両院の予算委員会で集中審議を行うよう求めています。

これに対し与党側は、まずは26日の法務委員会などで質疑を行うべきだとして、予算委員会の集中審議の開催には否定的で、与野党で引き続き協議が行われる見通しです。

特捜部でリクルート事件担当 法務省の要職も

林氏は愛知県出身。

昭和58年に検事に任官したあと東京地検特捜部ではリクルート事件などの捜査を担当し、平成3年から3年間はフランス大使館で1等書記官を務めました。

平成15年からは法務省矯正局の総務課長として名古屋刑務所で起きた集団暴行事件の対応に当たり、明治時代に制定された「監獄法」の抜本的な見直しに尽力しました。

その後も、刑事局の総務課長や人事課長などの要職を歴任し、平成26年からは法務省の刑事局長を務め、「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法の国会審議では政府側の答弁の中心的な役割を担いました。

罪を犯した人の再犯防止や社会復帰支援に積極的に取り組んできたことでも知られています。

おととし1月、名古屋高等検察庁の検事長に就任した際の記者会見では「しなやかで、強く、頼りがいのある検察を構築していきたい」と抱負を述べていました。

賭けマージャンの問題で辞職した東京高等検察庁の黒川弘務前検事長とは任官同期で、林検事長は次の検事総長の有力候補とみられていました。

しかし、ことし1月、政府の法解釈の変更で黒川前検事長の定年が延長されたことで、検察関係者の間で、次の検事総長には黒川前検事長が就任し、林検事長はことし7月の定年までに退官するという見方が出ていました。

NHKニュース
2020年5月26日 5時16分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200526/k10012444811000.html