★15日、立憲民主、国民民主などの野党統一会派に所属する当選4回のベテラン参院議員・桜井充は「与党に行かないとなかなか仕事ができない。与党会派に入ってそこで仕事をした方がいいと判断した。新型コロナウイルスの第2次補正予算案の編成に、医師としての経験を役立てたい。苦渋の決断だ」として統一会派を離脱。自民党会派入りの意向を示した。前回16年の参議院選挙で当時の民進党から立候補し、共産党や社民党、生活の党などの推薦を得て野党共闘で当選した。桜井は同日会見で「民進党が存続していたら、こんなことにはなっていない。これだけははっきりしています」と、何がはっきりしているのかわからない説明をした。

★地元宮城の風当たりも強い。立憲民主党県連幹事長・鎌田さゆりは「身売りであり手のひら返し。辞職に値する。野党共闘がなければ、今座っている議席はない。議員バッジを着けられれば、政党はどこでもいいのではないか」。共産党県委員長も「完全に寝返ったので、我々にも会えないのだろう。思いを聞きたいとも思わない」。同志となるかもしれない自民党も困惑している模様だ。

★だが本当に与党でないと仕事ができないのだろうか。08年、桜井はねじれ状態の参院で経産委員長、政権奪取した09年には参議院民主党政審会長に就任し、10年の菅直人内閣で財務副大臣に就いている。内閣の一員になった経験もありながら「与党でないと仕事ができない」とは、当時の仕事が不完全燃焼か、大臣病ということか。ではなぜ野党で出馬したのか。最初から自民党で行けばその苦労もなかったかもしれない。議会は与党と野党がある。政権交代でそれが入れ替わることがあるし、この30年で交代は2度起こった。野党はその組織も脆弱(ぜいじゃく)で、政権攻撃はうまいが政権与党になった時、力を発揮できない。だが野党だと仕事ができないなど本当に仕事をしたことなどない政治家の発言ではないのか。旧民主党から自民党に移り大活躍した政治家はいまだ見当たらない。苦渋の選択などない。自民党に行きたいのなら議員辞職して再度自民党から出馬が筋だろう。有権者と政党を軽んじるな。(K)※敬称略

日刊スポーツ
2020年5月19日7時58分
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