新型コロナの感染拡大が止まらない東京都。20日、新たに102人の感染が確認され、累計で3184人にまで増加してしまった。現在、軽症患者は病院でなく都内のホテルで療養している。その患者に対し小池都知事が送った「直筆お手紙」が話題になっている。

〈感染の終息を願い、心ひとつにして参りましょう!〉――。日刊ゲンダイが入手した手紙には、芸能人のサインと見まがうほどの達筆でこう記されている。SNSでは実際に受け取った人が写真を投稿。〈素晴らしい!〉〈すてき〉と評価する声が上がっている。


■「あざとい」「ぬかりない」と批判噴出

 都の福祉保健局によると、「手紙配布は知事本人の発案。一日も早い回復と感染拡大防止の願いを込めた」(広報担当者)というが、額面通り受け止める人ばかりではない。7月に都知事選を控えているだけに、〈一票が買えるならお安いもんだ〉〈あざとい〉〈ぬかりないねー〉という指摘もSNSで上がっている。

 それもそのはず、小池都知事は週刊文春に「血税9億円CM 条件は『私の出演』」と指摘されたばかり。都知事選を前に、自らが出演するCM制作に巨額の都税をつぎ込んだと批判を招いている。直筆手紙も“選挙対策”とみられているということだ。

■「なんで配らなきゃならないの…」と漏らす職員も

 都が借り上げたホテルは3棟で、既に212人が利用した。今後も軽症患者が増える可能性が高く、多くの都民の手元に小池都知事の直筆手紙が渡ることになるわけだ。これには、都庁内部からも不満の声が上がっているという。

「ホテルには医療従事者以外に、受付要員として都庁職員も駆り出されています。24時間態勢で複数人で回している状態。患者との接触を断っているとはいえ、感染リスクはゼロではない。そんな大変な状況の中、『なんでこんな手紙を配らないといけないんだ』との声が漏れています」(都政関係者)

 都議会議員の上田令子氏はこう言う。

「大阪府は3月中に入院フォローアップセンターを立ち上げ、ホテル利用を含めた入院先の確保策を入念に検討していました。ところが、東京都は大した準備もなく、患者の急増に伴い慌ててホテルを公募し突如、ホテル利用を打ち出したのです。そんな場当たり的な対策が現場職員の混乱を招いた可能性がある。そんな中、美談仕立ての『手紙』だけしっかり作るというのは、非常に疑問です」

 もともとコロナ対策にほとんど“無関心”だったのに、五輪延期が決まって急にやる気満々になった小池都知事。全ては“自分ファースト”ということか。

日刊ゲンダイ
20/04/21 14:50
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/272169
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