森友事件をめぐる公文書改ざんを無理強いされ命を絶った財務省近畿財務局の上席国有財産管理官、赤木俊夫さん(享年54歳)。その手記が初めて公開され、大きな反響を呼んでいるさなか、妻の昌子さん(仮名)が27日午後、インターネット上の賛同者募集サイトChange.org(チェンジ・ドット・オーグ)で呼びかけを始めた。

「私の夫、赤木俊夫がなぜ自死に追い込まれたのか。有識者によって構成される第三者委員会を立ち上げ、公正中立な調査を実施して下さい!」

 その呼びかけに賛同者が殺到。開始から2日足らずで15万人を突破した。これにはあまたの賛同者募集を扱っているChange.orgの運営担当者も驚いた。確認を求めたところ、日本で行われたChange.orgのキャンペーン・署名で、これまでで最も多く最も速いことがわかった。

 Change.orgのカントリー・ディレクター(責任者)は取材に対し、異例とも言えるほどの思いのこもったコメントを寄せた。

「赤木氏のご遺族によって開始された本キャンペーンは、開始から1日半ほどで15万名以上の賛同数に達しました。これは、日本国内で開始されたキャンペーンとしては最速で最多の賛同数となります。『森友学園の国有地売却をめぐるやりとり』には様々な要素が絡み合っています。働いている中で、信念に背く業務を無理やりさせられ、気持ちが痛んだり追い詰められたという経験は、多くの人に思い当たるのではないでしょうか。残されたご遺族として、なぜそこまで追い詰められる必要があったのか。お連れ合いの『知りたい』という悲痛な思いが、これだけの賛同を引きつけたと言えるのではないかと思います」

 さらにChange.orgの求めに応じて昌子さんが28日に出したコメントを以下に紹介する。

■「安倍首相、麻生大臣にこの声が届くと思います」

 この署名に賛同してくださった方、またスマホやパソコンをお持ちでない方からも沢山の応援の声をいただいています。お礼と感謝を申し上げます。

 夫がもがき苦しんで自死を選ぶことになった真相を知りたいです。

 きっと安倍首相、麻生大臣にこの声が届くと思います。

 今日(28日)は54歳で亡くなった夫の誕生日です。

 最高のプレゼントを皆さんからいただきました。

 本当にありがとうございます。

■手記公開と提訴を3月にしたかったわけ

 そう、きのう3月28日は赤木俊夫さんの誕生日。本来ならこの日、57歳になったはずだった。私と同い年、同じ学年だ。

 その日、私は赤木さんの自宅を訪れ、祭壇の写真の前にチョコレートを捧げた。そこにはすでに小さなケーキが供えられていた。

「誕生日はいつもトッちゃん(俊夫さんのこと)の好きな料理を作って二人でお祝いしたんですよ。私の誕生日もすぐ近く(3月22日)だから、二人一緒のお誕生会。自宅で、ケーキも買ってきて。もうできないけど…」

 昌子さんが俊夫さんの手記を公開し、国と佐川宣寿元財務省理財局長を相手に裁判を起こしたのは3月18日。この時期を選んだのは、実は深い理由があった。3月7日が俊夫さんの三回忌、22日が自分の誕生日、そして28日が俊夫さんの誕生日。昌子さんにとって、俊夫さんと二人にとって、大切な日が続く3月に、どうしても手記公開と提訴をしたかったのだ。

■共感と賛同のメッセージが赤木昌子さんを支える

 誕生日の思い出でしんみりとした昌子さんだったが、思ったほど沈んではいなかった。皆さんから寄せられる賛同の声が彼女を力づけている。

「私の生まれ故郷は人口2万人なんです。15万人って想像をはるかに超えています」

 この日はTBSの報道特集で赤木俊夫さんのことが取り上げられた。番組が終わった後、昌子さんからLINEが届いた。

「私の勇気に敬意を表すると金平さん(番組キャスターの金平茂紀氏)が言ってくださいました。

がんばるぞ!」

 皆さんの支援の声が、「夫の死の真相を知りたい」という赤木昌子さんを突き動かしている。

 署名の募集は引き続き、以下のサイトで行っている。

http://chng.it/yBNFhJG97G


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相澤冬樹 | 大阪日日新聞編集局長・記者(元NHK記者)
3/29(日) 9:23
https://news.yahoo.co.jp/byline/aizawafuyuki/20200329-00170272/