米国のトランプ大統領などG7の首脳による緊急電話会議が16日深夜に行われ、WHO(世界保健機関)が「パンデミック」を宣言した新型コロナウイルスへの対応を協議、その中で開催が危ぶまれている東京五輪も議題になった。

 安倍晋三首相は、会議後、議題となった東京五輪について「人類が新型コロナウイルスに打ち勝つ証として東京オリンピック・パラリンピックを完全な形で実現するということについてG7の支持を得たところです」と説明した。

「完全な形で実現する」は、無観客などの異例の形態ではないことを示唆しているようだが、延期の声も強くなっている、その時期について協議したかどうかの具体的な言及がなかった。
 記者団からは「時期については?」との確認の質問があったが、「完全な形で実施するということでG7は一致したところであります」と答えるに留まりハッキリとした返答はしなかった。

 開催を延期しての「完全な形での実施」とも解釈できるような問答で、様々な憶測を呼んでいるが、米国のCNNは、フランスのマクロン大統領が緊急G7会議の提唱者だったことを明かす記事の中で、会議の内幕を暴露した。

 CNNによると、「安倍首相は五輪の延期や中止には強く抵抗し、目標は”予定通りに開催することだ”と語った」という。

 安倍首相は、現在、国内の各種イベントに関して自粛を要請している立場上、時期については、そこまで踏み込んで質問に答えなかったのだろうか。CNNの報道が正しいとすれば「完全な形での実現」は、その時期も含め”予定通りの開催”ということを示唆していたのだ。

 CNNによると、さらにカドロー米国経済会議委員長は、「(安倍首相は、東京五輪の延期、中止が)世界におけるリーダーシップの問題につながると考えており、トランプ大統領は、彼に幸運を願った。我々全員が彼の考えを支持している」とコメント。先日、トランプ大統領は、「東京五輪は1年延期した方がいい」と発言し、波紋を広げていたが、緊急G7会議では、その主張をふりかざすことなく、安部首相の訴えを支持したという。

 また豪州のシドニーモーニングヘラルド紙は、IOC(国際オリンピック委員会)の調整委員会のジョン・コーツ委員長が、「東京五輪2020は予定通りに行われ、先月に国際オリンピック委員会の古参メンバーのディック・パウンド氏が主張したような五輪を中止するか、しないかの判断の期限を5月にしていることもない」と語ったことを伝えた。ディック・パウンド氏の「延期、中止の判断を5月末に決める」との発言が問題となっていたが、コーツ氏は、判断時期に期限を設けないというIOCの姿勢を明らかにした。

 コーツ氏は、「IOCは、ディック(・パウンド)氏が口にしたあらゆる日程について認識しておらず、ディック自身も、その意見を(今は)後退させていると考えている。すべては7月24日に始まる流れだ。(開催延期の考えは)IOCの見解ではなかった。単なるディック氏の意見だ。まだ開幕まで4カ月ある。個人的にやや不都合が生じているが、欧州の数カ国の対応をとてもうれしく思っている」とも明かした。
 ただ、現在、IOC本部にいるコーツ氏は、欧州から豪州に帰国後、約2週間の隔離措置を受けるという。
 
 延期説を打ち消す風が吹いてきたが、一方で、豪州も含めて五輪代表を決める国内選考会が開けない状況が世界中に広がっており、IOCのトーマス・バッハ会長は、17日(日本時間18日)にワールド・アスレティックスなど、各国際競技団体や、各国オリンピック委員会、選手に対して、現状とIOCの考え方を説明するための緊急電話会議を行う。G7が東京五輪支持で合意しても、東京五輪開催の決定権を持つのはIOC。先日、バッハ会長は「WHOの助言に従う」と発言したばかり。IOCは果たしてどんな方向性を打ち出すのだろうか?

THE PAGE
3/17(火) 7:00配信
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