政府は5日の参院予算委員会で、「桜を見る会」の「前夜祭」会場だったホテルニューオータニ東京が、2019年10月の天皇陛下の「即位礼正殿の儀」に出席した外国元首らをもてなす、首相夫妻主催の「夕食会」について、予算額を約2000万円上回る約1億6100万円で随意契約していたことを明らかにした。政府は契約額などを公表する義務があるが、野党議員の指摘を受け、ホームページに掲載した今月2日まで公表しておらず、菅義偉官房長官は「申し訳ない」と陳謝した。

 政府は5日の参院予算委員会で、「桜を見る会」の「前夜祭」会場だったホテルニューオータニ東京が、2019年10月の天皇陛下の「即位礼正殿の儀」に出席した外国元首らをもてなす、首相夫妻主催の「夕食会」について、予算額を約2000万円上回る約1億6100万円で随意契約していたことを明らかにした。政府は契約額などを公表する義務があるが、野党議員の指摘を受け、ホームページに掲載した今月2日まで公表しておらず、菅義偉官房長官は「申し訳ない」と陳謝した。

 同式典事務局は当初予算ベースで、ニューオータニに支払う料飲費、メイン会場借り上げ費、通信費、控室借り上げ費などは計約1億4300万円としていた。しかし、事務局は5日の予算委で、4月25日にニューオータニと約1億6100万円で契約したことを認め「予算策定時に想定していなかった控室の追加、警備用モニター設置など追加の経費を含めた」と説明した。立憲民主党の石川大我氏への答弁。

 さらに、4月に締結した国の随意契約については、財務省の通達で契約締結日から93日以内に契約額などを公表すると決まっているが、事務局はこの事業について公表していなかった。石川氏は「この事業だけ(公表が)抜けている疑惑がある」と指摘。事務局は「先週、立憲民主党の辻元清美氏から指摘があり気がついた。担当部局との連絡がうまくいかず公表が遅れてしまった」と釈明した。菅氏も「ホームページに掲載が遅れたことは極めて遺憾で、申し訳ない」と陳謝した。

 19年4月12日には、同じ「鶴の間」で首相後援会主催の「前夜祭」も開催されている。石川氏は「夕食会は900人想定で契約金1億6000万円、前夜祭は800人で400万円。この破格の安さ、何か疑われても仕方がない」と、ホテル側が夕食会の受注を見込んで前夜祭の料金を大幅値引きしたのではないかと追及。菅氏は「それはまったく別物であって、桜を見る会については首相がここで答弁したとおりだ」とかわした。

 首相は今年1月の衆院予算委で、野党議員に「会費5000円で宴会は開けない」と指摘され「何回も使っている方と、いちげんの方とで商売においては当然(扱いが)違うと思う」と述べるなど、自身の「特別待遇」を強調してきた。しかし、政府から昨年4月に巨額の事業を受注したホテルから同じ月に「特別扱い」を受けたとすれば、さらに説明責任が問われることになりそうだ。【大場伸也】

毎日新聞
2020年3月5日 21時00分
https://mainichi.jp/articles/20200305/k00/00m/010/274000c