3月2日の参議院予算委員会で、安倍晋三首相の記者会見の「メカニズム」が問題となった。立憲民主党の蓮舫議員が「新型コロナウイルスの感染防止対策に関する説明が不十分ではないか」と追及したのだが、その中ではからずも、日本のマスメディアが抱える「記者クラブ問題」がクローズアップされることになったのだ。

問題のきっかけは、ジャーナリストの江川紹子さんが記者会見に参加して、「質問があります」と手をあげたのにもかかわらず、司会の広報官や安倍首相に無視されて、回答してもらえなかったことだ。江川さんは、このことをツイッターやYahoo!ニュース個人の記事で明らかにした。

・新型コロナ対策・首相記者会見で私が聞きたかったこと〜政府は国民への説明責任を果たせ(江川紹子)
https://news.yahoo.co.jp/byline/egawashoko/20200301-00165497

蓮舫議員は、江川さんの一件に触れつつ、総理会見の仕組みについて質問した。それに対する安倍首相の答弁によって、総理会見においては「事前に記者クラブから質問が伝えられていること」が明らかになった。

安倍首相はあらかじめ用意した回答を読み上げているだけだったのだ。それはシナリオに沿った「出来レース」と言ってよい。

このことは、AP通信出身のジャーナリスト・神保哲生さんがすでに指摘していたが、国会で首相がはっきりと答えたのは異例のことだ。

また、安倍首相の答弁を通じて、総理会見で質問できるのが実質的に「記者クラブ加盟の記者」に限られていて、フリーランスの記者は「参加できても質問できない」オブザーバー状態に置かれていることが明らかになった。記者クラブ加盟の記者とそうではない記者の「厳然たる格差」が、そこには存在する。

以下、「総理会見の仕組み」に関する蓮舫議員の質問と安倍首相の答弁を全文紹介する。

2に続く

亀松太郎 | ジャーナリスト
3/2(月) 18:08
https://news.yahoo.co.jp/byline/kamematsutaro/20200302-00165700/