カジノを中核とした日本の統合型リゾート(IR)事業を巡る汚職事件に絡み、贈賄罪に問われた中国企業側が100万円を提供したと説明する船橋利実・衆院議員(59)(自民、比例北海道)側の資金処理について、船橋氏の説明と矛盾する帳簿が残されていたことがわかった。帳簿の記載通りなら政治資金収支報告書の記載が誤っていることになり、収支報告書の不記載や虚偽記入を禁じた政治資金規正法に抵触する可能性がある。

 関係者によると、中国企業「500.com」側は東京地検特捜部に対し、衆院解散日の2017年9月28日、札幌市内の料亭で船橋氏に100万円を提供したと説明している。

 船橋氏はこの100万円について、料亭に同席していた同市の観光会社会長・加森公人被告(76)(贈賄罪で起訴)からの寄付だったとし、自らの貸付金400万円と一緒に、代表を務める自民党北海道第1選挙区支部の事務担当者に渡したと説明。「担当者が500万円全額を貸付金だと誤解し、収支報告書に記載した」として先月7日、収支報告書を「船橋氏の貸付金400万円」と「加森被告の寄付100万円」に訂正した。

 これに対し、関係者によると、事務所内の帳簿には船橋氏が担当者に500万円を渡した日付は「9月24日」と記載され、それを裏付ける電子データも残っていたという。事務所側は28日の衆院解散前に開かれた会合で使うために、この500万円を用意しており、関係者は「帳簿と電子データの記載に誤りはない」と証言する。特捜部も帳簿を入手しているという。

 帳簿の記載や電子データの記録通りなら、船橋氏が事務担当者に500万円を渡した際、寄付の100万円は含まれておらず、船橋氏の説明と収支報告書の記載は、いずれも誤りだったことになる。

 船橋氏は取材に対し、9月28日に加森被告から100万円を受け取ったとした上で、帳簿の記載について「正確ではなく、担当者の記憶違いだと思う」と説明。担当者に500万円を渡した日付を「9月28日から10月4日までの間」としたが、「裏付ける証拠はない」とも述べた。

 「500」社側は特捜部に対し、船橋氏のほか、下地幹郎(58)(無所属、比例九州)、中村裕之(58)(自民、北海道4区)、岩屋毅(62)(同、大分3区)、宮崎政久(54)(同、比例九州)の各衆院議員側に100万円ずつを提供したと説明している。

読売新聞
2020/02/14 07:17
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200214-OYT1T50083/