自民党衆院議員の河井克行・前法相(56)の妻で同党の案里参院議員(46)の陣営が、昨夏の参院選で車上運動員らに違法な報酬を支払ったとされる事件で、案里氏陣営が、車上運動員ごとに名目が異なる2種類の領収書を作成していたことが関係者への取材でわかった。選挙費用として報告しているのはうち1種類だけで、法定上限額を超える違法報酬を隠す狙いがあった可能性がある。

 広島地検は17日、案里氏の男性秘書から任意で事情聴取。2枚の領収書の作成経緯についても聞いたとみられる。

 案里氏の選挙運動費用収支報告書によると、昨夏の参院選で車上運動員として活動していたのは13人で、期間は各1〜8日間。日当は公職選挙法施行令で定められた上限額の1人1万5000円と記載され、支払総額は102万円だった。「車上運動員報酬」との名目で、投開票日付の領収書も添付されていた。

 関係者によると、案里氏陣営は、13人の名義で「人件費」との名目でも領収書を作成。金額は運動員の報酬と同じ1日当たり1万5000円で公示前の日付が記されていた。この人件費は選挙運動費用収支報告書に記載されていなかった。

 地検も2種類の領収書の存在を把握。人件費の実態は報酬の上乗せ分で、陣営が違法性を認識していた可能性があるとみて、調べているとみられる。

読売新聞
2020/01/18 07:30
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200118-OYT1T50069/