9日に閉会した臨時国会は、閣僚の連続辞任や、安倍晋三首相の公私混同が指摘された「桜を見る会」の問題など、2カ月余りの会期で不祥事や疑念が続発した。だが、与党は野党が求めた事実解明のための審議などに十分応じず、政権への打撃回避を優先した。

 9日夜、首相官邸であった記者会見。臨時国会で浮上した疑念に対する首相の説明は、それまで述べてきた内容をなぞる素っ気ないものだった。

 記者団が「桜を見る会は、後半国会の大きな焦点となった。野党は税金の私物化だと批判を強めている」と質問すると、首相は手元のメモに目を落としながら語った。「長年の慣行のなかで行われてきたところだが、招待者の基準があいまいであり、結果として招待者の数がふくれ上がってしまった」

 約30分の会見のうち、桜を見る会についての説明は約2分。幹事社による質問に1回答えただけだった。朝日新聞の記者は手を上げ続けたが指名されなかった。

 首相は会見で「国民の皆様から、様々なご批判があることは十分に承知をしております」とも述べた。だが、国会では最後まで、野党などが指摘した疑念に具体的に答えなかった。

 同会をめぐっては、11月8日の参院予算委員会で共産党が、首相が地元有権者を多数招待しているなどと公私混同ぶりを追及した。さらに、会の前日に首相の後援会が都内で開いた夕食会をめぐる会計処理のあり方や、反社会的勢力とみられる人物の出席、オーナー商法で行政指導を受けていたジャパンライフの元会長が招待されたことなど、疑念が次々と噴出した。

朝日新聞
2019年12月10日06時00分
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