安倍晋三首相主催の「桜を見る会」に首相の後援会関係者が多数参加していた問題で、立憲民主や共産など野党の追及本部視察団が1日、首相の地元・山口県下関市を訪れ、地方議員や住民へのヒアリングをした。地元での聴取を踏まえ、視察団は「選挙買収に近いことをやっている」と批判を強めた。

 地方議員へのヒアリングは報道陣に公開され、視察団が「桜を見る会」と安倍首相の後援会や選挙活動とのつながりなどを聞いた。追及本部事務局長の黒岩宇洋(たかひろ)衆院議員(立憲民主)が「(桜を見る会が)安倍後援会が外に手を伸ばして声を掛けるという、後援会拡大活動の手段になっているということか」と質問すると、野党系県議は「私はそう思っていた」と答えた。複数の県議、市議がヒアリングに応じたが、いずれも非自民系だった。

 「国会議員枠」や「自民系市議枠」などで桜を見る会に参加した住民計4人にも非公開で事情を尋ねた。聴取内容について柚木道義衆院議員は「前夜祭も行ったが領収書をもらっていないと明言している人もおり、首相の説明と違う部分があった」と明らかにした。また「同じ自民党の中でも線引きされていて、自民党の選挙を応援したらというより、安倍首相の選挙を応援したら呼ばれると思っている人もいた」と話した。

 聞き取り終了後、黒岩氏は報道陣に「桜を見る会を使って選挙の買収に近いことをやっていても地元では物(異論)を言えない」と指摘した。国会で追及の口火を切った田村智子参院議員(共産)も「安倍首相を批判してはいけないという空気が相当ある。民主主義の根幹に関わる問題だということを改めて認識している」と述べた。

 視察団は事前に安倍事務所へも訪問の意向を伝えていたが、11月29日に断りの回答が届いたという。視察は2日も実施し、事務所に質問状を提出するほか旅行会社へのヒアリングをする予定。【坂野日向子】

毎日新聞
2019年12月1日 21時45分
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20191201/k00/00m/010/166000c