安倍晋三首相と野党議員の衆院予算委員会の論戦は、残念ながら深みに欠くやりとりが続きました。

 首相はこの日、閣僚辞任をめぐり10回近く「責任を痛感」と口にし、「行政を前に進めていく」ことで責任を果たすとの考えを繰り返しました。野党側が角度を変えて質問をしても、似たような答弁ばかり。序盤は答弁メモに目を落としながら発言していましたが、途中からは暗唱するように答え続けました。「責任を痛感」との言葉の重みがどんどんと軽くなっていくように思えました。

 棚橋委員長の差配も目につきました。 野党統一会派で無所属の今井雅人氏が、加計学園の獣医学部新設問題をめぐり文部科学省内で見つかった文書を手に質問していたところ、首相は自席から「あなたが作ったのでは」などとヤジを飛ばす場面がありました。今井氏が「何ですかそれは。謝罪してください」と首相に発言を求めましたが、棚橋氏は「私には聞こえなかった」。野党議員は委員長席に詰め寄り、委員会運営を整理しようと質疑の一時中断を要求しましたが、棚橋氏は聞き入れません。今井氏に割り当てられた20分間のうち4分近くが、ここで費やされました。

朝日新聞
2019年11月6日19時36分
https://www.asahi.com/articles/ASMC56SY0MC5UTFK01W.html