【ソウル=境田未緒】北朝鮮国営の朝鮮中央通信は一日、国防科学院が「超大型放射砲(多連装ロケット砲)」=写真、朝鮮中央通信・共同=の試射を十月三十一日午後に再び実施して成功したと報じた。北朝鮮が同日に中西部の平安南道(ピョンアンナムド)・順川(スンチョン)から日本海に向けて発射した飛翔(ひしょう)体二発を指すとみられる。日本の防衛省は弾道ミサイルと分析している。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が立ち会ったかどうかは不明。

 北朝鮮は八月二十四日と九月十日にも「超大型放射砲」の試射を実施。九月の試射では二発のうち一発は内陸部に落ちて失敗したとみられている。朝鮮中央通信は今回、「唯一無二であるわれわれの超大型放射砲兵器体系の戦闘的な性能と実践能力の完璧性が確証された」と強調。「敵の集団目標や指定された目標区域を強力に焦土化できるようになった」とした。

 九月の試射では正恩氏が立ち会い、「今後は放射砲の連発射撃の試験のみ行えばよい」と述べて兵器が完成段階に近づいていることを示唆していた。今回、報告を受けた正恩氏は「大いに満足して技術者らに祝賀を送った」という。

 一日付の労働新聞(電子版)は、片側四輪の移動式発射台からロケット砲が打ち上げられる写真一枚だけを掲載。非核化を巡る交渉で譲歩を迫っている米国を過度に刺激しない狙いがあるとの見方が出ている。

東京新聞
2019年11月1日 夕刊
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201911/CK2019110102000282.html