鹿児島市議会が、性的少数者(LGBT)への施策に関する質疑で紛糾している。施策の導入に慎重な対応を求めた会派「自民みらい」に対し、24日に開かれた議会運営委員会で共産党が「議会の品位を落とす発言」などと問題視した。市民団体の反発も受け、みらい側は「差別を助長する質疑ではない」と反論し、議論は平行線をたどった。(九州総局 小沢慶太)

 問題の発端は今月11日に開かれた本会議での代表質問だ。

 みらいの上田勇作議員は、LGBTに関する施策について市側に慎重な対応を求め、全国に広がりつつある同性パートナー制度について「ニーズがほとんどないといえるのではないか」と指摘した。また、LGBTの人口に占める割合の民間調査について「過大に水増しされているとの指摘もある」とも発言した。

 これに対し、LGBTの支援団体が「性の多様性とLGBT当事者を傷つけ、その人権を否定するものだ」などとして、みらい側に抗議文を提出した。

 24日の議会運営委員会では、共産の大園竜也議員が「『過大に水増ししている』と指摘するのは印象操作と受け止められかねない」と、みらい側に質疑の真意を問いただした。

 これに対し、みらいの井上剛議員は「実態を正確に反映していないであろう数字で議論されていると、危惧している」と譲らなかった。結局、午前10時に始まったこの日の委員会は休憩を挟み夜まで続いた。

 みらい側は代表質問に先立ち、質問が事前に市議会公式サイトに公開された時点で、支援団体から質疑の撤回要請があったことを特に問題視している。

 上田氏は代表質問の中で、質疑の取り下げ要請に対して「思想信条の自由を踏みにじり、言論の府を冒涜(ぼうとく)する行為」として強く抗議した。

 鹿児島市は現在、パートナー制度導入などを具体的に検討しているわけではない。上田氏は今回の質問の意図について「LGBT施策については『推進』以外タブーになっている中で、別の考えをいう必要があった」と語る。井上氏は「誹謗(ひぼう)中傷するつもりは全くない。ただ、さまざまな角度から検討が必要だ」と強調する。

産経新聞
9/25(水) 7:55配信
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