【ウラジオストク時事】ロシアのプーチン大統領は5日、北方領土の元島民の墓参やビザなし交流でロシアが日本に配慮しているにもかかわらず、日本はロシアに歩み寄っていないと不満を表明した。日米同盟が平和条約締結の障害になっているとの懸念も改めて示した。極東ウラジオストクで開かれた「東方経済フォーラム」の全体会合で発言した。

 全体会合では、司会者が安倍晋三首相に対し、北方領土のロシア人住民が日本のビザを取得できなかったと批判的に質問。安倍首相が、こうした課題を解消するために「領土問題を解決し、平和条約を締結すること」が必要と述べた後でプーチン氏が発言した。

 プーチン氏は北方領土への墓参などについて「元島民や(安倍)首相の希望に歩み寄っている」と述べる一方で「それは特別なものだ」と強調。北方領土問題と直接関係がない、ロシアが併合したウクライナ南部クリミア半島の問題を持ち出して、日本はクリミア住民にビザを出していないと主張し、「奇妙なことだ」と不満をにじませた。
 プーチン氏は「日本を信頼している」と述べながらも、平和条約締結問題に関して「2国間関係の枠内に収まらない。軍事・安全保障の問題がある」と指摘。「米国を含む第三国への日本の義務を考慮しなければならない」と従来の立場を繰り返した。

時事通信
2019年09月05日21時36分
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