7月4日の参院選公示まで1週間となった27日、各党幹部は一斉に全国遊説に飛び出した。安倍首相はG20で大阪入りし、外交アピールに余念がないが、参院選のことを考えるとお腹が痛くなっているんじゃないか。というのも、焦点の1人区で、自民は「11敗」した3年前以上の大敗を喫する可能性が出てきたのだ。

■自民調査でも下降トレンド

 自民党は参院選について隔週で独自の情勢調査を実施して、トレンドを分析しているというが、先週末に行った調査は安倍首相が真っ青になる結果だったようだ。

「『老後資金2000万円不足』の報告書で世論の不評を買った影響が大きく、予想以上にトレンドが下降していた。1人区は良くて『8敗』、下手すると『13敗』もあり得る状況だそうです。同じ週末に行われたNHKの世論調査で、内閣支持率(42%)が6月上旬から6ポイントも下落していましたから、厳しい結果を懸念してはいましたが……」(自民党関係者)

 最新のメディアの世論調査では、年金不安を高めた2000万円問題について安倍政権の対応に「納得せず」が半数を超え、参院選の争点を「年金問題」とする人も半数に達している。


 オセロゲームの1人区はちょっとした風で白黒逆転する。全32選挙区ある1人区で、自民は3年前は21勝11敗だった。今回、自民は16選挙区(別表)を「激戦区」に指定し、テコ入れ中だ。

 日刊ゲンダイで連載中の「参院選当落予想」(7ページ)で予想を担当する政治評論家の野上忠興氏は、自民調査の「下降」を当然としつつ、13敗どころか14敗する可能性もあるとこう話す。

「自民党激戦区のうち、現状でなんとかなりそうなのは共産党が無所属で擁立する徳島・高知と、佐賀の2つしかありません。鬼門とされる東北6県は、年金問題が起こる前までは3敗程度でしたが、最も安全だとされていた青森も分からなくなり、東北全敗の可能性も出てきました。新潟、長野、三重、滋賀、愛媛、沖縄はもともと厳しい選挙区ですが、ここへきて新たに山梨、大分が白↓黒に変わった。山梨は今年2月に二階派の知事が誕生したとはいえ、長らく自民の組織はガタガタで、反自民票も多い。大分の現職は、与野党一騎打ちのガチンコ選挙が今回初めてで、逆風には強くない」

 年金問題の大逆風は当然、比例票にも影響する。自民が設定した与党で過半数の「63」議席獲得という低いハードルも、越えられなくなるかもしれない。

日刊ゲンダイ
19/06/28 15:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/257162/
https://c799eb2b0cad47596bf7b1e050e83426.cdnext.stream.ne.jp/img/article/000/257/162/785b388bfeaefd8c184486f162ebb56e20190628124031310.jpg