またか、とタメ息をついた国民も多いはず――。23日の「沖縄全戦没者追悼集会」であいさつした安倍首相。昨年も批判されたが、今年のスピーチも、前年の文面をほぼそのままコピペしたものを読み上げていたのだ。

「今年の追悼式は例年にないくらい、安倍首相に対して『帰れ!』や『ウソつき』といったヤジが飛んだ」(地元記者)という。スピーチの中身が毎年ほぼ一緒というフザけた態度が、県民の感情を逆なでしているのだ。

 実際、昨年と今年の「首相あいさつ」を比較すると、実に全体の5割が一言一句同じ。表現が変わっている箇所はあるものの、構成はまったく一緒だった。
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 安倍首相は常日頃から「沖縄に寄り添う」とうそぶいているが、それが全くのデタラメだと分かる文章がある。昨年も今年も、<沖縄の方々には、永きにわたり、米軍基地の集中による大きな負担を担っていただいております。この現状は、何としても変えていかなければなりません>と、同じ文面を使い回しているのだ。

 辺野古の新基地建設に「ノー」の意思表示をした県民に対して、こうした“決まり文句”を並べているのは、基地負担の軽減について、いかにやる気がないかの証左だろう。<沖縄の基地負担軽減に全力を尽くしてまいります>という文言も同じだし、その基地負担軽減について<一つ一つ、確実に、結果を出していく>という決意もコピペだ。コラムニストの小田嶋隆氏がこう言う。

「全面改訂せずとも、少し応用を効かせればいいだけの話です。原稿を用意する役人やスピーチライターがいるのだから、変えようと思えば変えられるはず。こうなると、嫌がらせでわざと同じ文章を読んでいるのではないか、ツラ当てにきたのではないか、と勘ぐられても仕方ありません」

 安倍首相は、2014年に広島で読んだスピーチが13年の時の「コピペだ」と大炎上すると、翌15年から内容を全面的に変更している。なのに、沖縄でのスピーチは絶対に変えようとしない。コピペは続くよ、どこまでも、という状況だ。

「同じもの読んでりゃいいか」――。沖縄蔑視が透けて見える。

日刊ゲンダイ
19/06/25 14:50
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/256885/