陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の秋田市への配備計画をめぐり、データ不正や住民説明会での防衛省職員の居眠り騒動に地元の反発は強まる一方だ。

 14日、立憲民主党、国民民主党、共産党の5人の国会議員が配備候補地の陸上自衛隊新屋演習場周辺を現地視察した。「演習に影響が出る」と陸自側に拒まれ、演習場の中には入れなかった。

 演習場は住宅密集地のド真ん中にあり、小学校や高校が隣接。イージス・アショアは、レーダーが発する電磁波による健康への影響が懸念される。そして何より、有事になれば敵の攻撃対象となるリスクと隣り合わせ。野党議員のヒアリングに地元住民は「よりによって、なぜ人が集まるこの地域を選ぶのか」と不満をあらわにしていた。

 防衛省は候補地選定をめぐる誤データ発覚後も新屋演習場を唯一の適地としている。それが、ここへきて津波に関する新たな隠蔽も明らかになった。

 防衛省は説明資料で新屋演習場は津波の影響は受けないとしていた。ところが、13日の野党合同ヒアリングで西側の一部が浸水想定域に含まれ、津波対策が必要だと認めた。「秋田魁新報」「河北新報」(いずれも14日付)にそうした事実を報じられ、追認せざるを得ない状況に追い込まれたからだ。地元住民は憤りを隠さずにこう言った。


「津波の件は、新聞で初めて知り、驚きました。津波を理由に落とした候補地もあるようじゃないですか。角度データの一件もそうですが、もともと“新屋ありき”で進められているということなのでしょう。津波リスクを隠していたのは、計算ミスでは説明がつかない。意図的で悪質な隠蔽としか思えません。岩屋防衛相が17日に秋田県知事と秋田市長に謝罪するそうですが、とにかく配備計画を撤回してほしい」

 岩屋防衛相は14日の会見で「敷地造成(カサ上げ)の結果、レーダー施設は津波の影響を受けずに配置が可能」として新屋演習場への配備計画に変更はないと強調した。地元を無視して強行する構えなのだ。視察後、配備計画撤回を求める立憲の辻元清美国対委員長は「地元住民よりも、米国のためということではないか」と口にしていた。

 沖縄も辺野古移設問題で大揺れしている。国民の声を無視し、米国に追従するばかりの安倍政権には参院選で鉄槌を下すほかない。

(現地取材協力=ジャーナリスト・横田一氏)

日刊ゲンダイ
19/06/15 14:50
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