「トーンポリシング」
この言葉を聞いたことはありますか?

直訳すると、トーン(話し方)+ポリシング(取り締まり)で、「話し方や言葉遣い、態度や感情を批判する」という意味になります。

横文字で少しカッコよく感じるかもしれませんが、議論の際に論点をずらす行為としてトーンポリシングは行われるため、良い意味では使われません。

例えば、痴漢被害にあった女性が「痴漢するオヤジ、ぶん殴りたい!」と怒っている場合に、「痴漢にあったことは可哀想だと思うけど、そんな汚い言葉を使うのはよくないよ」と「言葉」を取り上げて評することがトーンポリシングです。

日本ではあまり定着していませんが、これからの社会を考える上でとても重要な言葉のため、しっかりと把握しておく必要があります。

2016年2月、はてな匿名ダイヤリーへの投稿「保育園落ちた日本死ね!!!」という文章が話題になりました。

この投稿では、子供を保育園に預けることができず、働くことができない母親のストレートな感情が吐露されていました。

「保育園落ちた日本死ね!!!」
https://anond.hatelabo.jp/20160215171759

この投稿は後に国会でも取り上げられ議論となり、また「『現代用語の基礎知識』選・2016ユーキャン新語・流行語大賞」でもトップ10入りを果たすなど社会に大きな影響を与えました。

同じく待機児童状態の家族や過去に同じ状況だった人たち、あるいは子育てしにくい環境に賛同する人たちから共感する意見が集まる一方、
「辛いのは分かるけど、『死ね』という言葉を使うのはよくない」「言葉が汚いから理解を得られないよ」と言った反論意見も多く集まりました。

ここでの反論として出てきた「死ねは良くない」「言葉が汚い」という指摘は、トーンポリシングのよい例でしょう。

https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-889681.html
https://030b46df30379e0bf930783bea7c8649.cdnext.stream.ne.jp/archives/011/201906/f3daa35412a4f0b0a83cd0017d525540.jpg

参考
琉球新報「保育園落ちた日本死ね!を言葉遣いで批判するのはトーンポリシング。論点ずらしに騙されるな」
https://hayabusa9.5ch.net/test/read.cgi/news/1560323497/