「まだ続くんですか? ちょっと気が遠くなった」

 証人の声が法廷に響き、証言台から離れて休憩が認められた。異例の7時間にわたる証人尋問。籠池夫妻の公判は何事も想定の範囲では収まらない。

 森友学園の籠池泰典前理事長と諄子夫人が詐欺罪などに問われた補助金事件の裁判が大阪地裁で続いている。5月31日の第3回公判では、学園が開校を目指した小学校の設計会社の経営者が証言に立った。

 夫妻が「昔の海軍兵学校」「戦前の木造小学校のように」と要望していたという証言はいかにもだが、焦点は校舎の工費に応じて出る国の補助金だ。申請業務はこの会社が行い、総工費22億円としていたが実際は14億円だったという。水増し請求は籠池夫妻の指示なのか? それとも設計会社がすべての責任を夫妻に押しつけているのか? そこがポイントだ。

■「ぼったくって」と言われた

 まず検察側の尋問で経営者はこう証言した。

●籠池夫妻から補助金を「多めに取っといて」「ぼったくって」と言われました。「まあ多めに取る作戦で、後で怒られんくらいに」と答えたら「怒られてもかまへん」「うそも方便やね」と言われました。
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 これに対し弁護側の尋問にはこう答えた。

●22億円の工費の絵を描いたのは自分です。現実にあり得る最大限の見積もりで、うそをでっちあげたわけではありません。住宅ローンなどの関係で多めの見積もりを出すことはこの業界ではままあります。

 また、経営者が2年前の特捜部の取り調べに対し、補助金について籠池夫妻に説明したが「たぶん理解はされていないと思います」と供述していたことも明らかに。前理事長が「この学校は安倍晋三首相の名を付けるから、いろんな建設業者が協力してくれる」と、建設費軽減の見通しを話していたことも明かした。

 経営者は、自分が逮捕されることもあり得ると検事に告げられ、籠池夫妻が起訴された日に、不起訴になったと知らされたという。

 法廷で籠池前理事長はじっと経営者を見つめていたが、経営者が視線を向けることはなかった。

 法廷が終わった後、籠池氏は恒例の一句を披露した。
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「たそがれの 背徳の人に 五月風」

 自分を悪く証言した人に5月最後の風が吹いているという心境を詠んだ。法廷の闘いは続く。

(相澤冬樹/大阪日々新聞・元NHK記者)

日刊ゲンダイ
19/06/02 06:00 
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/255179/

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