日本とロシアの外務・防衛の閣僚協議を前にロシア外務省はコメントを発表し「アジア太平洋地域でアメリカのミサイル防衛が拡大していることへの評価も示したい」として、日本がアメリカから導入する新型迎撃ミサイルシステムへの懸念を伝える考えを明らかにしました。
30日都内で行われる日本とロシアの外務・防衛の閣僚協議、いわゆる2+2で、ロシア側からはラブロフ外相とショイグ国防相が出席する予定です。

これを前に29日、ロシア外務省はコメントを発表しました。この中でロシア外務省は「安全保障分野での信頼関係の構築や新たな脅威などに立ち向かうための2国間の協力について詳しく議論する」として、双方の安全保障上の懸案について突っ込んだ議論を交わしたいとしています。

そして「アジア太平洋地域でアメリカのミサイル防衛が拡大していることへのわれわれの評価も示したい」として、日本がアメリカから導入する新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」への懸念を改めて伝える考えを明らかにしました。

一方、コメントでは、首脳間の対話が活発に行われていることや経済関係が拡大していることなどを挙げて「2国間関係は進展し続けている」と評価していて、31日行われる日ロ外相会談などを通じて両国の関係発展についても意見を交わすものとみられます。
ロシアのシンクタンク「ロシア国際問題評議会」のアンドレイ・コルトゥノフ会長は「ロシアはアメリカなどほかのG7の国々とこうした形式の話し合いの場を持っていない。高いレベルでこのような協議を日本と行っているという事実が極めて大事だ」と述べ、日本と2+2を開催すること自体に意義があると指摘しています。

ロシアとしては、欧米との関係悪化が続く中で国際社会から孤立しているという印象をぬぐい去りたい思惑があるとみられ、コルトゥノフ氏は、その意味でもロシアが日本との2+2を重視していると分析しました。

また北朝鮮情勢については「ロシアにとって北朝鮮の指導者と建設的な関係があることが利点になっている」と述べ、先月、プーチン大統領がキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長と会談したことを踏まえ、ロシアの立場を日本に伝えることになるという見通しを示しました。

一方、コルトゥノフ氏は「両国関係そのものが地域の懸案になるのではなく、むしろ安全保障など地域のさまざまな問題を解決するメカニズムになることが重要だ」と指摘し、ロシアは、北東アジアにおいて日本を戦略的なパートナーとして位置づけようとしていると分析しました。

そして「2+2で幅広い問題で合意できれば、首脳レベルの対話にふさわしい環境が生まれるだろう」と述べ、平和条約の締結に向けて、2+2のような話し合いを続けることで、互いの信頼関係が高まっていくことに期待を示しました。

NHKニュース
2019年5月30日 1時04分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190530/amp/k10011934251000.html