1〜3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動を除いた実質で前期比0.5%増、年率換算で2.1%増と、民間の予想に反してソコソコだった。消費増税を予定通り行いたい財務省はホッとしていることだろう。

 今回、個人消費と設備投資がマイナスだったのに、全体でプラスに転じたのは、輸入の大幅減が外需寄与度を高め、公共投資が内需寄与度をプラスに浮上させたからだ(別表参照)。

 これらは、特殊要因。その反動を含め、次の4〜6月期GDPは目も当てられないものになるのが濃厚だ。

【公共投資】1〜3月期は年度末で、公共投資が増えるのは当たり前だが、今年はいつもと様子が違ったという。

「1〜3月期のGDPがマイナスになると、消費増税延期が現実味を帯びる。最近は、建設工事などは人手不足などで工事の遅延が常態化していますが、麻生財務大臣が年度内に確実に公共事業の予算を消化するようにハッパをかけたようです。それが奏功し、公共投資がダントツで貢献する結果になりました」(財務省担当記者)

 4〜6月期は、その“カサ上げ”の反動が確実に来る。

【外需】財務省が22日に発表した4月の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は604億円と黒字をキープしたが、黒字額は前年同月に比べ、9割も減った。米中貿易戦争激化で5、6月の輸出低下は必至。輸出が輸入を大きく上回りそうにない。

 これら1〜3月期の特殊要因がなくなる上、他も悪材料だらけだ。

【個人消費】1〜3月期の▲0.1%は、食品などの値上げで消費が落ち込んだと説明されるが、値上げの実施は3〜6月が多い。値上げの影響を4〜6月全月で受け、いっそう消費は冷え込む。

【設備投資】5月以降の出口の見えない米中全面対決で投資に躊躇する心理は強まる。

「秋の消費増税を見据えた駆け込み需要がある住宅投資だけは、次期もプラスの可能性がありますが、他は軒並みダメでしょう。ただ、4〜6月期GDPの発表は8月20日ごろ。参院選挙は終わっていて、どんなに悪くても、消費増税のブレーキにはならないでしょう」(経済紙記者)

 4〜6月期GDPがボロボロなのに、増税強行――。リーマン・ショック級の秋になりそうだ。

日刊ゲンダイ
19/05/29 06:00
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