宮内庁は27日、同日午前に行われた天皇、皇后両陛下と、来日中のトランプ米大統領夫妻のご会見の内容を明らかにした。宮内庁の秋元義孝式部官長によると、ご懇談時間は15分余り。主に上皇さまの譲位と今回の即位、日米の交流、26日の大統領の相撲観戦など日本文化の3つが話題に上り、大統領は天皇陛下に敬意を払いつつも、リラックスした雰囲気で和やかに会話していたという。

 会見では、まず大統領が「陛下のご即位後、最初の国賓としてお招きいただいたことを光栄に思います」とあいさつ。陛下は「私の即位後の最初の国賓として大統領をお迎えできることをうれしく思います」と応じられた。

 「譲位について200年以上、行われていないと聞いていますが」との大統領の質問には、「最後の譲位以降、譲位は200年以上行われてきませんでしたが、歴史を振り返れば、それが普通のこととされていた時代もありました」と説明されたという。

 大統領からは「上皇、上皇后両陛下はいかがお過ごしでしょうか」と上皇ご夫妻を気遣う質問もあり、陛下は「大統領によろしくとのことでした」と、上皇ご夫妻からのご伝言を伝えられた。

 続いて陛下の「英語力」が話題に上り、大統領が「陛下は英語が大変お上手ですが、どこで勉強されたのでしょうか」と質問。陛下は英国・オックスフォード大への留学経験や、同大で知り合った米国人の友人の自宅を訪問したことがあることを披露された。皇后さまが米国・ハーバード大学を卒業されたことや、上皇さまの訪米歴なども紹介されたという。

 最後は、陛下が「昨日は相撲をご覧になられましたが、いかがでしたか」と話題を振られた。これに対し、大統領は「相撲は長い伝統があり、また大変力強く、素晴らしいものでした。今回は大統領杯を優勝力士に渡すことができ、大変良かったと思います」と話したという。陛下も相撲をご覧になるかとの質問には、陛下が「それほどしばしば機会があるわけではありません。また、大統領が昨日ご覧になったほど、近くでは見ません」と返される場面もあった。

 一方、皇后さまとメラニア夫人との間では、子供の教育やスポーツ、夫人が取り組んでいる青少年育成活動に関することなどが話題に上り、皇后さまは通訳を介さず会話されたという。

 会見では贈り物の「御贈進品」の交換も行われた。両陛下は大統領に濃い青色の円すい形の飾り鉢を、メラニア夫人へは金細工を施した飾り箱を、それぞれ贈られた。大統領夫妻からは陛下が趣味で演奏されるビオラが、皇后さまにはハーバード大で伐採した木で作られたペンが、それぞれ渡された。

 贈られたビオラについて、皇后さまが「陛下、今夜お弾きになられたら」と話すと、陛下は笑顔をみせられていたという。

産経新聞
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