国会会期末まで1カ月。国会が閉じればすぐ参院選のはずだが、まだ投開票日が決まらない。会期延長はあるのか。安倍首相が衆院を解散して衆参同日選に踏み切るのかどうか。終盤国会で政界の関心はその一点に集中している。

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 永田町では一通の“怪メール”が話題になっている。6月19日に予定されている約1年ぶりの党首討論から解散までの日程を記した出所不明のメールが数日前から出回っているのだ。

「与党の国対から流出したという触れ込みのメールが同僚議員から回ってきた。あまりに具体的で、説得力のあるスケジュール感なので、本物かと思って国対に確認したところ、怪メールが出回っていることは承知しているが、国対の正式な文書ではないとのことでした」(自民党衆院議員)

 メールに書かれているのは、こんな解散日程だ。

<6月19日(水)党首討論で総理が消費税増税について懸念を表明。日銀短観などを見るために今国会の会期延長を表明

会期末(6月26日・水)に会期を7月5日(金)まで延長することを決定

6月28日(金)、29日(土)G20大阪

7月1日(月)日銀短観発表

総理が消費税増税延期と衆議院解散を表明

7月5日(金)衆議院解散

8月4日(日)衆参同日選(公示:衆7月23日(火)、参7月18日(木))>

 やはり安倍首相は消費増税の延期を「大義」にして、衆院を解散するつもりなのか。怪メールを見た衆院議員が浮足立つのも無理はない。

 24日の衆院厚労委で、10月に予定されている消費税10%への引き上げについて質問された安倍首相は「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、引き上げる予定に変わりはない」という従来の答弁を繰り返した。これまでと違うのは、増税の延期で「必ずしも国民の信を問うことは考えていない」と言ったことだ。

 もっとも、増税を見送った場合の衆院解散について聞かれると、「基本的には信を問うことは考えていないが、状況によるので一概には答えられない」とニヤニヤしながら答え、含みを持たせた。

「解散があるかもしれないと思わせることで、求心力を保つことができる。だから、解散日程の怪メールは首相周辺が忖度して流したブラフだとみられています。最近、安倍首相は派閥のパーティーなどで『12年前の参院選で負けたことを片時も忘れたことがない』と何度も言っていますが、今夏の参院選では野党を完膚なきまでに叩きのめして、12年前の恨みを晴らそうとしている。そのために、あの手この手で党内の引き締めを図っているのだと思います」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)

 ブラフだからと油断することなく、野党は一刻も早く選挙態勢を整えるべきだ。

日刊ゲンダイ
19/05/25 15:00
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/254716/