原発専業会社の日本原子力発電が、2011年度からの8年間で発電がほぼゼロだったにもかかわらず、大手電力5社から受け取った電気料金が合計1兆円近くになった。23日に発表した19年3月期の決算の発表資料などから、朝日新聞が集計した。

 原電は原発を4基保有していたが、2基はすでに廃炉作業中だ。残る2基のうち、東海第二原発(茨城県)は11年3月の東日本大震災で運転停止に。敦賀原発2号機(福井県)も同年5月上旬に運転停止した。それ以降、発電量はゼロだ。

 発電をしていない原電に電気料金を支払っているのは、東京電力ホールディングス、関西電力、中部電力、北陸電力、東北電力の5社。原電は5社から「基本料金」として11年4月からの8年間で計9885億円を受け取った。ただ、16年から電力小売りが全面自由化され、大手各社も経営環境は厳しい。「発電ゼロ」の原電に電気料金を支払い続けることへの風当たりは強くなりつつある。

 原電は、昨年11月に20年間の運転延長が認められた東海第二原発の再稼働をめざしているが、事前了解をめぐる地元自治体との対立で見通しは立っていない。

朝日新聞
2019年5月23日18時1分
https://www.asahi.com/articles/ASM5R54GKM5RULFA01Z.html