今夏の参院選比例代表で日本維新の会公認候補の元フジテレビアナウンサー、長谷川豊氏(43)が被差別部落への差別を助長する発言をしたとして、部落解放同盟(組坂繁之委員長)は22日、同党に抗議文を出したことを明らかにした。組坂氏が21日夕、国会内で同党の馬場伸幸幹事長に手渡した。

 抗議文によると、長谷川氏は今年2月、東京都内で講演し、江戸時代の被差別民について、身分を示す差別的な呼称で取り上げ「人間以下と設定された人たちも、性欲などがあります。当然、乱暴なども働きます」と指摘。被差別民が集団で女性や子どもに暴行しようとした時、侍は刀で守ったという話をした。

 インターネット上に講演の動画が5月15日に投稿され、部落解放同盟は内容を把握。「史実を無視し、偏見に基づき江戸時代の被差別民が暴力的で、犯罪集団であるとの前提で話をしている。差別意識を助長する行為だ」としている。

 馬場氏は毎日新聞の取材に「大変な無知による事実誤認の発言。党紀委員会を開き、処分を含めて議論する」と語った。馬場氏によると、発言について確認したところ、長谷川氏は「(差別の歴史について)全く知らなかった。発言は撤回する」と弁明したという。【戸田栄】

江戸時代の部落史に詳しい寺木伸明・桃山学院大名誉教授の話

 長谷川氏の話を裏付ける資料は全く見たことがない。犯罪は身分とは関係なく起こっていた。江戸時代に被差別の身分の人々が携わった主な役目の一つは、警察的な仕事だった。

毎日新聞
2019年5月22日 18時18分
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190522/k00/00m/010/211000c